英語力が伸びる人、伸びない人

「柴原早苗の通訳者のひとりごと」『English Journal』2008年9月号より。

英語力というのは、生まれつきの才能でもなければ、魔法で向上するものでもありません。ダイエットやマラソン同様、トレーニングあるのみです。マラソン選手は最初から42.195キロメートルを走れるわけではありませんし、ダイエットでいきなり20キロも落とせるわけはないのです。初日は5分しか走れなかったけれど、1週間後には20分走れるようになった、あるいは、毎日食事を少しだけ減らして運動を増やしたら、少しずつ体重が落ちていった、ということと同じです。要は、トレーニングという継続的な作業を、どこまで自分の日常生活に取り入れられるか、ということが重要なのです。

私はここ数年、いろいろな学校で英語を指導しているのですが、初回の授業の生徒の様子で、伸びるタイプか伸び悩むタイプかが、おおよそわかります。なぜでしょうか?実は、伸びる生徒は以下の3つのタイプに集約できます。

まず、声が大きい人。ハキハキと話せるということは、相手に自分のメッセージを伝えようという意欲の表れです。そのような人は、たとえブロークンな英語でも、伝えたいという思いが前面に出るのです。多少の間違いも恐れないタイプです。

2つめは、語彙が豊富な人です。その人の話を聞けば、読書量がわかります。本をたくさん読んでいる人ほど、多様な言い回しをストックしており、日本語の表現力に比例して、英語の表現力のアップも期待できます。

最後に、授業時間を最大限に利用する人です。例えば講師のコメントなど、たとえ板書されていないことでも素早くメモし、ボーッとしている時間を作らず、新出単語の発音なども小声で練習するようなタイプです。こうした人たちは少しずつ着実に知識を増やし、実力を身に付けていきます。

つまり、伸びるかどうかは、その人の取り組み方に表れるのです。ぜひ皆さんも、具体的な目標を定め、「大きい声で話す」「読書をする」「学習時間を最大限に活用する」といったポイントを、ご自身の学習に取り入れてみてください。