「異文化交流が親しみをもたらすとは限らない」(フルブライト)

文化と外交 - パブリック・ディプロマシーの時代 (中公新書)

渡辺靖『文化と外交:パブリック・ディプロマシーの時代』中公新書、2011年より

「イギリスのローズ奨学金をモデルにフルブライト奨学金を創設したアメリカのJ・ウィリアム・フルブライト上院議員は、一九六一年、アメリ連邦議会上院で次のように証言している。

(中略)

『私は教育交流プログラムが必ずしも人びとの間に親しみを生み出すとは思っていません。しかし、それは本質的な問題ではありません。もしも同じ人間としての感覚――よその国に住んでいるのは、私たちが恐れるようなドグマではなく、同じ人間であるということ――を心で感じとることができれば十分だと思っています。自分たちの国の人間と同じく、喜びや悲しみ、残酷さや優しさを持った同じ人間であるということが』」(pp.24-25)