「確信を持てなくするのが文化人類学者の仕事」

〈文化〉を捉え直す――カルチュラル・セキュリティの発想 (岩波新書)

「為政者の仕事は世界を単純に語ることにあるのかも知れない。それを精査し、批判してゆく営為はもちろん大切だ。「確信を持てるようにするのが他の人たちの仕事、確信を持てなくするのが私たちの仕事です」(『解釈人類学と反=反相対主義』小泉潤二編訳、みすず書房、二〇〇二年)と述べた文化人類学者のクリフォード・ギアツは正しい。しかし、批判そのものが目的と化した態度からさして多くの物事は生まれないのもまた確かだ」(p.40)