マンネリ化する構築主義

〈文化〉を捉え直す――カルチュラル・セキュリティの発想 (岩波新書)

構築主義の考え方には大きな影響を受けたものの、それとて、ある程度慣れ親しんでくると、いわば食材こそ違え、調理法も完成品もマンネリ化している気がした。「初めに結論ありき」のごとく、権力批判そのものが目的であり、結論であり、正義であるかのような議論も多く、ある種の窮屈さを感じるようになった。なかんずく、批判することで自らを高位に置くかのような態度や、批判ばかりで建設的な代替案を提示しようとしない姿勢には違和感を覚えた。学会の発表でも「研究」というより「アドボカシー(政策提言)」ないし「アクティビスト(活動家)」に近いものが散見された」(p.181)