鳩山政権の最大の「負の遺産」とは?

普天間・辺野古 歪められた二〇年 (集英社新書)

宮城大蔵、渡辺豪『普天間辺野古 歪められた二〇年』(集英社新書、2016年)より

 「「最低でも県外」に限らず、鳩山が掲げたさまざまな「理想論」そのものが「馬鹿げたこと」だと見なされるような風潮を蔓延させることになったのが、鳩山そして鳩山政権が遺した最大の「負の遺産」となった観がある。しかし鳩山政権への評価とない交ぜになって、「最低でも県外」を「馬鹿げたこと」だと一蹴する風潮は、あくまで日本本土の話であったことに留意しなくてはならない。戦略や政治力の欠如によって混乱を招いたことは別として、鳩山がこだわった「最低でも県外」、すなわち普天間の「代替移設」がなぜ沖縄での「新基地建設」という形にしかならないのか、という疑問は沖縄では至極当然のこととして受け止められた。それを一蹴する本土との「温度差」は、やがて沖縄に対する「差別」だと論じられるようになる」(pp.156-157)