「いつまでもデブと思うなよ」(岡田斗司夫)

いつまでもデブと思うなよ・電子版プラス

岡田斗司夫『いつまでもデブと思うなよ』新潮新書、2007年より。

 ダイエット法で成功した人は、二〇〇人のうち一〇人。つまり成功率は五%。

 この場合の”成功”というのは、いちおう「目標体重に達した人」という意味だ。一〇〇人のうち九五人が目標体重に達する前に挫折する。理由は「ダイエットを続けられないから」。

 そして、わずか五%の「成功者」の中でも、その後も体重の維持に成功した人は、二〇〇人のうちでわずか一人。たった〇・五%しかいない。(p.14)

 

 つまり、ダイエットの失敗というのは「やせないこと」ではなく、「続けられないこと」なのだ。いかに持続することが難しいかがわかる。(中略)その結果、学んだこと。「続けられないダイエットは意味がない」「ガマンだけで楽しくなければ、人間は続けることはできない」

 続けること。これが、ダイエットにとって最大の課題なのだ。(pp.14-15)

 

 カロリー制限を開始してから二ヶ月が過ぎる頃。(中略)
 こんな時期、突然というか発作的に激しい飢餓感に襲われた。毎日一度ぐらい、空腹感と落ち込みの感情が同時に、強烈に襲ってくるようになったのだ。

 考えてみれば当り前で、簡単に減らすことができる内臓脂肪もすっかり底をついてしまい、渋々、皮下脂肪を燃やし始めた体は(勝手に!)生命の危機を感じ始めているらしい。やせようとする私の意志や行動を、あらゆる方法で妨害してくる。(pp.142-143)

 

 結論から言うと、この「飢餓感と落ち込み」は一~二週間続く。はっきり言って、かなり辛い。ダイエットで二~三ヶ月で挫折する人が多いのは、みなこの「七五日目の変化」に抗えないせいだろう。体は、あらゆる信号を使って、元の太った体重を取り戻そうと、欲望や不安をかきたててくるのだ。

 しかし、一~二週間我慢しさえすれば、この「飢餓感と不安」はウソみたいになくなる。体がついに抵抗をやめて、「やせること」を認めるようになる。(p.144)

 

 私たち太っているタイプの人間は、大部分が欲望型人間だ。体の声ではなく、心の叫び、欲望で動く。「TVで紹介されたアレが食べたい!」という脳的な欲求がエネルギー源だ。だから欲望型人間はだいたい精力的だ。

 それに対して、ずっとやせている人たちはだいたい「欲求型人間」だ。欲望があまり強くない、というより「体の要求してくる声」が大きすぎるので、自分の欲望があまり感じられない人たちだ。だから欲求型人間は、どことなく上品で受身である。(p.197)