池田清彦『他人と深く関わらずに生きるには』書評
- 作者: 池田清彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/11
- メディア: 単行本
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でも、著者が本書で繰り返し説くような、いわば「自由至上主義」は、著者も認めているとおり「自己決定、自己責任が機能するためには、国民は相応に賢くなければならない」(160頁)という条件が満たされて成立するもののはず。しかし、「国民は相応に賢い」わけはないので、それは無理というものだろう。
「他人と深く関わらずに生きるには」というタイトルの本を書いている人が、国民とか消費者とか親とか、得体の知れないものの賢明さを前提に議論するのはおかしいと思う。自分には西部邁の『大衆の病理』や小谷野敦の『すばらしき愚民社会』で書かれている大衆像のほうがしっくりくる。