2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

日本の国会議員が海外の歴史学者200人以上に送った本が逆効果だった理由

山崎雅弘『歴史戦と思想戦―歴史問題の読み解き方』集英社新書、2019年より。 「本書をここまで読まれた方なら、猪口邦子らが海外の「二〇〇人を越える人たち」に送付した二冊の書物が、なぜ受け取った歴史学者やジャーナリストに強い不快感や嫌悪感を覚えさ…

「権威主義国」の特徴と「歴史戦」

山崎雅弘『歴史戦と思想戦―歴史問題の読み解き方』集英社新書、2019年より。 「筆者の認識では、近現代における「権威主義国」に共通する特徴として、以下のようなものが挙げられます。 【1】時の国家指導者の判断は常に正しいと見なす「国家指導者の権威化…

権威主義的性格と力

エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』(日高六郎訳)東京創元社、1965年より ※下線・〔〕内は引用者 「〔権威主義的性格の〕注意すべきもっとも重要な特徴は、力にたいする態度である。権威主義的性格にとっては、すべての存在は二つにわかれる。力をもつも…

歴史研究と「歴史戦」の根本的な姿勢の違い

山崎雅弘『歴史戦と思想戦―歴史問題の読み解き方』集英社新書、2019年より。 「歴史研究とは、過去の出来事について、その全体像を解明するために細部の事実関係を丁寧に検証していくことであり、研究の成果がどんな結論になるのかは、作業を進めている時点…

「慰安婦」問題をめぐる国内の「歴史戦」

山口智美、能川元一、テッサ・モーリス-スズキ、小山エミ『海を渡る「慰安婦」問題:右派の「歴史戦」を問う』(岩波書店、2016年)より 「最後に指摘しておきたいのは、右派論壇が日本軍「慰安婦」問題、南京大虐殺をめぐる国内の“論争”には完全に勝利して…