ルワンダ大虐殺で「武器としてのレイプ」を生き延びた人たち

後藤健二『ルワンダの祈り:内戦を生きのびた家族の物語』汐文社、2008年より 「虐殺の時、女性に暴行することが武器のひとつとして使われたんです。」 「武器?」 「はい。男たちはフツ族の民兵の中に、女性をねらって暴行するグループを組織したのです。そ…

金融審議会の報告書を読んでみた

https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603.html 先日の国会でも論争を引き起こすことになった金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書。約50ページに及ぶこの文書を読んでみたが、自分のような金融の素人にも大変わかりやすい言葉で…

性犯罪者の特徴とAVの影響

読売新聞大阪本社社会部『性暴力』中央公論新社、2011年より 「「性暴力は、性欲だけでは説明できない」。少年鑑別所の専門官や刑務所の矯正処遇官を務めてきた藤岡淳子・大阪大教授(非行臨床心理学)は、加害者の心理をこう指摘する」(p.73) 「自分に対…

性暴力

読売新聞大阪本社社会部『性暴力』中央公論新社、2011年より 「あなたが、家族が、そして恋人が、性暴力にあったらどうしますか 心の痛み、苦しみを超えて語られる真実 坂田記念ジャーナリズム賞特別賞受賞の新聞連載を書籍化」(帯) 「二〇〇四年七月。深…

いま仏教の教義を学ぶことの意義

魚川祐司『仏教思想のゼロポイント:「悟り」とは何か』新潮社、2015年より 「ゴータマ・ブッダの教えは、現代日本人である私たちにとっても、「人間として正しく生きる道」であり得るのかどうか、ということである。 結論から言えば、そのように彼の教えを…

警察当局の大失態

一橋文哉『オウム真理教事件とは何だったのか?』PHP新書、2018年より 「山梨県上九一色村の第七サティアン周辺で九四年七月頃から度々、異臭騒ぎが起きていることを知った神奈川県警の捜査員は密かに越境捜査を行い、教団施設の張り込みや内偵捜査を続けた…

普天間・辺野古 歪められた二〇年

宮城大蔵・渡辺豪『普天間・辺野古 歪められた二〇年』集英社新書、2016年より 「長年にわたる沖縄の過重な基地の負担を軽減するために、最も危険な普天間基地を返還する。その「決断」がなぜ、辺野古への新基地建設強行へと転じてしまったのか」(p.216) …

るり姉

椰月美智子『るり姉』双葉文庫、2012年 3年くらい前、生前の母に病床で読んで元気出してもらおうと思って贈った本。結局文庫本一冊読む力も回復できずに母は逝ってしまった。読まれることのなかったこの文庫本は、いま自分の手元にある。 人間の生命力が迸(…

「人間が過剰に断定的になるのは、他人の意見を受け売りしているとき」

内田樹『日本辺境論』(新潮新書、2009年)より ※強調は引用者 「今、国政にかかわる問いはほとんどの場合、「イエスかノーか」という政策上の二者択一でしか示されません。「このままでは日本は滅びる」というファナティックな(そしてうんざりするほど定型…

鳩山政権の最大の「負の遺産」とは?

宮城大蔵、渡辺豪『普天間・辺野古 歪められた二〇年』(集英社新書、2016年)より 「「最低でも県外」に限らず、鳩山が掲げたさまざまな「理想論」そのものが「馬鹿げたこと」だと見なされるような風潮を蔓延させることになったのが、鳩山そして鳩山政権が…

「モチロン アイシテル!」

梯久美子『世紀のラブレター』(新潮新書、2008年)より 「旅先、獄中、そしてもうひとつ、夫婦間で愛の手紙がやりとりされる状況がある。どちらかが病に倒れ、明日をも知れない状態になったときである。病は、夫婦の愛情をあらためて確認するきっかけともな…

戦争の支配的優位を明け渡しつつある米軍

クリスチャン・ブローズ「AIと未来の戦争――アメリカが軍事的に衰退する理由」『フォーリン・アフェアーズ・リポート』2019年6月号より。 「この20年にわたってアメリカが中東での紛争に気をとられている間に、中国とロシアなどのライバル国は戦略を細かに検…

事業仕分けされるJETプログラム

「文化政策には目先の数値や効果とは異なる尺度が必要な場合もある。その好例がJETプログラム(語学指導等を行なう外国青年招致事業)だ。元々は外国語教育と国際交流の促進支援を通じた日本の地方自治体の国際化を目的として一九八七年に始まった事業だ…

不断に生じる境界線の再編

「米国人の社会学者があるセミナーで吐露したエピソードは興味深い。少年期にハバナ(キューバ)からマイアミ(米フロリダ州)に移住した彼は、ずっと「よそ者」感覚に苛まれ、全米有数の大学で教鞭を執り始めてからも、自らを「キューバ人」と紹介し続け、…

マンネリ化する構築主義

「構築主義の考え方には大きな影響を受けたものの、それとて、ある程度慣れ親しんでくると、いわば食材こそ違え、調理法も完成品もマンネリ化している気がした。「初めに結論ありき」のごとく、権力批判そのものが目的であり、結論であり、正義であるかのよ…

「イデオロギーの絶対性と真性性を問うことは不毛」

「保守とリベラル、右派と左派、現実主義と理想主義、タカ派とハト派、性悪説と性善説、悲観主義と楽観主義……。「二項対立の発想は古い」と繰り返されてはいるものの、社会や文化にまつわる自らの立場をこうしたイデオロギーの座標軸に位置づけようとする誘…

「芸術至上主義も知と権力の関係から自由ではあり得ない」

「文化の政策的価値を「不純」なものとして退ける芸術至上主義的な解釈を私自身は何ら否定しないが、それだけが文化のあるべき姿だとも思わない。さらに言えば、文化の政治性に対する批判的・懐疑的な視点はすこぶる大切だが、同様に、文化の真性性や純粋性…

「領土と歴史認識では相手の挑発的な「柔術」にはまってはならない」

「領土問題に関しては、あくまで「法の支配」の原理原則に基づき、必要とあれば、公明正大に、国際的な枠組みのなかで争うことも厭わない姿勢を示すことが肝要だろう。歴史認識に関しては、同じ国内であっても一致することは難しい。外国との間であれば尚更…

「学生の意見を聞くなんて、プライドがないのか」「僕にその類の「プライド」はありません」

「お金をもらって仕事をしている以上、すべてのビジネスマンはプロフェッショナルです。そのプロフェッショナルが丹精込めた仕事に、お客さんというその道の素人が平気でクレームをつけてくる――。そのとき、プロのプライドは揺らぎます。しかし、そういうと…

教えすぎる先生=考える力を奪ってしまう先生

林修『林修の仕事原論』青春出版社、2014年より 「僕は人に本をすすめません。読みたい本は自分で探すべきだというのが持論です。書店でもネットでもあふれるほどの本の情報があるこの時代に、自分が読みたい本を見つけられないというのは困った話です」(p.…

「欲望が散らかっている人間は、永遠に何も手にすることができない」

青木真也『空気を読んではいけない』幻冬舎、2016年より 「「みんなが食えるような業界になればいい」と格闘技関係者は言うが、逆にそれでは問題だ。勘違いしてほしくないのは、格闘技界は恵まれていないが、食えない業界では決してない。大勢の何も考えてい…

「強制」と「報酬」による問題解決が社会全体のガバナンスコストを増大させる

「途上国や新興国のみならず、先進国においても新自由主義の論理と力学が、従来の社会的な紐帯や信頼を分断し、経済格差や意識格差を拡大し、個人を孤立(原子)化するリスクが顕著になりつつある」(p.51) 「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)が低減…

「確信を持てなくするのが文化人類学者の仕事」

「為政者の仕事は世界を単純に語ることにあるのかも知れない。それを精査し、批判してゆく営為はもちろん大切だ。「確信を持てるようにするのが他の人たちの仕事、確信を持てなくするのが私たちの仕事です」(『解釈人類学と反=反相対主義』小泉潤二編訳、…

二極化する言説空間

「皮肉な見方をすれば、現在の課題に対して、スーパーモダンの肯定派は歴史的・文化的文脈を無視した強引な変革を迫り、逆に、否定派は歴史や文化を盾にいかなる変革をも拒む傾向がある。また、ポストモダンの肯定派は未来――しかも本当に実在し得るか疑わし…

「ある個人の活躍や能力がすぐに「ユダヤ人」として括られることが問題だ」

渡辺靖『<文化>を捉え直す――カルチュラル・セキュリティの発想』岩波新書、2015年より 「本来、多様な属性を持つ個人を「イスラム教徒」という大きなカテゴリーのみで括ることはフェアなのか。私が日本の大学の学部生だった一九八〇年代半ば、日本ではいわ…

「音楽家は政治になんの貢献もできないが、好奇心の欠如という病に向き合うことはできる」

第8章「文化・スポーツ活動と心の平和構築」(福島安紀子)より (下線は引用者) 「オーケストラ指揮者ダニエル・バレンボイムはイスラエルとパレスチナの和平を願って、ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団を設立し、毎年夏に合宿し、世界各地で公…

文化外交の成果測定の難しさ

「文化活動(文化外交や交流外交)の成果は長期的スパンで評価する必要がある。例えば、アレクサンドル・ヤコブレフが米ソの交換留学生として一九五八年に一年間コロンビア大学に留学したことの成果は、彼がミハイル・ゴルバチョフ政権のナンバー2としてペ…

「人間性という歪んだ材木からは、真直ぐなものはかつて何も作られなかった」

(下線はすべて引用者) 「アマゾンの最深部で一万年以上、独自の文化・風習を守り続けているヤノマミ族。文化人類学の教科書でもしばしば取り上げられる部族だが、NHKはブラジル政府、および部族の長老七名との一〇年近い交渉の末、TV局として初めて長期(…

社会科学の軍事的関与

渡辺靖『文化と外交:パブリック・ディプロマシーの時代』中公新書、2011年より (下線はすべて引用者) 「二〇〇一年の同時多発テロ事件後、アメリカ中央情報局(CIA)は(中略)奨学金制度を通して、文化人類学や地域研究を専攻する学生の確保に乗り出して…

「異文化交流が親しみをもたらすとは限らない」(フルブライト)

渡辺靖『文化と外交:パブリック・ディプロマシーの時代』中公新書、2011年より 「イギリスのローズ奨学金をモデルにフルブライト奨学金を創設したアメリカのJ・ウィリアム・フルブライト上院議員は、一九六一年、アメリカ連邦議会上院で次のように証言して…