2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

兵士の戦闘力喪失(降伏・負傷)をロボットは認識できるか

ポール・シャーレ(伏見威蕃訳)『無人の兵団―AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争』早川書房、2019年より。 ※下線は引用者 ジュネーヴ諸条約は、彼もしくは彼女が(a)捕らえられるか、(b)“降伏の意図を明確に示す”か、(c)“怪我か病気で意識を失って…

サイボーグが実現すれば「自然な」人間と「増強・拡張された」人間の分裂が進む?

P・W・シンガー『ロボット兵士の戦争』(小林由香里訳)NHK出版、2010年より。 今後数十年間に、「自然な」人間と「増強」もしくは「拡張」された人間とに分裂が進むだろうと、科学者たちは考えている。軍の人間が真っ先にそうした増強された力を獲得するこ…

映画『博士と彼女のセオリー』感想

www.youtube.com この映画を見るまでスティーヴン・ホーキングのことをほとんど何も知らなかった。 現実があまりにも苛酷すぎて、善意も恋も愛も何もかもが色あせて無力に見えるのに、また新しい愛が次から次とやってきて、現実の苛酷さを和らげていく。 妻…

無症状患者の感染力

アイスランドの調査で陽性判明者の半分が無症状、米コロンビア大の硏究で、武漢での感染爆発初期の感染者の86%が無症状の人から感染した可能性。The Japan Times記事より。 www.japantimes.co.jp

コロナ収束後のNew York

コロナ収束後NYから感染リスクの高い高齢者や大企業の本社が大挙して出て行き、街は貧しくなるが若者や移民には住みやすい街になるだろうと記事は言っています。ただ、市内でも免疫を持つ者と持たない者の間で生活空間の分離が進むだろうとも。 www.japantim…

専門家と一般市民の対立「専門家はもっとがんばるべきだ」

トム・ニコルズ『専門知は、もういらないのか』(高里ひろ訳)みすず書房、2019年より。 ※強調・下線は引用者 アメリカ国民は、自国の政治経済制度がもたらすものについて、ますます現実離れした期待を抱くようになっている。この権利意識は、人々が「専門家…

科学の仕事は説明することで、予言することではない(トム・ニコルズ)

トム・ニコルズ『専門知は、もういらないのか』(高里ひろ訳)みすず書房、2019年より。 テレビのニュース番組では、連日コロナウイルスの感染拡大がとりあげられている。そしてそこに出演している感染症の専門家たちが、毎日毎日くりかえし「今後どうなって…

現代にも通じる反知性主義(『大衆の反逆』から)

オルテガ・イ・ガセット『大衆の反逆』角川文庫、1967年より。 今日の著述家は、自分が長年にわたって研究してきたテーマについて論文を書こうとしてペンを執る時には、そうした問題に一度も関心を持ったことのない凡庸な読者がもしその論文を読むとすれば、…

今や「あなたは間違っている」=「あなたは馬鹿だ」になってしまった

トム・ニコルズ『専門知は、もういらないのか』(高里ひろ訳)みすず書房、2019年より。 著者は反知性主義の伝統が根強いアメリカのことを話しているのだが、これは日本も含め現在世界の至る所で起こっていることだろう。 評論家やアナリストがやんわりと「…

パンデミック予防のための野生動物市場の規制の必要性(SARSとエボラの教訓)

キャサリン・マッカラバ、ウィリアム・B・カレシュ「パンデミックの社会・経済コストーー予防とコスト分担の国際的仕組みを」『フォーリン・アフェアーズ・リポート』(日本語版)2020年 No.4より。 ※強調・下線は引用者 この2週間というもの、世界の株式市…

近隣窮乏化政策に走る各国/コロナ後の地政学的再編

ヘンリー・ファレル、アブラハム・ニューマン「ウイルスが暴いたシステムの脆弱性――われわれが知るグローバル化の終わり」『フォーリン・アフェアーズ・リポート』(日本語版)2020年 No.4より。 新型ウイルスが拡散するにつれて、最悪の誘惑に屈する政府も…

「科学コミュニケーター」の役割

村上陽一郎氏の著作には学生の頃大変お世話になりました。『新しい科学論―「事実」は理論をたおせるか』(講談社ブルーバックス)は思い出の一冊です。 「人は危機的な状況に陥ると不確かな情報に飛びつきやすい。不安や怒りに駆られ、ものごとを即断してし…

コロナ差別

感染そのものよりも差別の方が怖くなって、そのうち感染しても申告しなくなる人が増えそうですね。誰にとってもマイナスでしかない。 mainichi.jp

コロナ後は自給自足への回帰?

ブランコ・ミラノビッチ「パンデミックによる社会破綻――経済政策で社会崩壊を阻止するには――」『フォーリン・アフェアーズ・リポート』(日本語版)2020年 No.4より。 世界は、これから非常に大きな変化に直面していくことになるだろう。自給自足的な「自然…

パンデミックによる社会破綻

『フォーリン・アフェアーズ・リポート』(日本語版)2020年 No.4より。 最新号は「コロナウィルス後の経済と社会」特集号です。掲載されている全ての論文が興味深い内容です。 ブランコ・ミラノビッチ(ニューヨーク市立大学シニアスカラー)による巻頭論文…

「説明したがり屋(explainer)」が社会の多数派になると危険

トム・ニコルズ『専門知は、もういらないのか』(高里ひろ訳)みすず書房、2019年より。 誰でも会ったことがあるはずだ。職場の同僚だったり、友人だったり、親戚だったり。若かったり、年寄りだったり、金持ちだったり、貧しかったり。教育を受けた者もいれ…

尊敬されなくなった専門知

トム・ニコルズ『専門知は、もういらないのか』(高里ひろ訳)みすず書房、2019年より。 たしかに専門知は、いらなくなったわけではないが、窮地に陥っている。ひどくまずいことになっている。アメリカ合衆国はいまや、みずからの無知を礼賛する国になってし…