2005-01-01から1年間の記事一覧

宮坂直史「『戦略文化』と戦後日本のテロ対策」評

日本外交のアイデンティティ (国際関係学叢書)作者: 長谷川雄一出版社/メーカー: 南窓社発売日: 2004/07メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る■宮坂直史「『戦略文化』と戦後日本のテロ対策」長谷川雄一編『日本外交のアイデンテ…

Norms, Identity, and National Security in Germany and Japan

The Culture of National Security: Norms and Identity in World Politics (New Directions in World Politics)作者: Peter J. Katzenstein出版社/メーカー: Columbia Univ Pr発売日: 1996/08/01メディア: ペーパーバックこの商品を含むブログ (2件) を見る…

Anne L. Clunan, Constructing Concepts of Identity まとめ

Beyond Boundaries: Disciplines, Paradigms, and Theoretical Integration in International Studies (Suny Series in Global Politics)作者: Rudra Sil,Eileen Doherty出版社/メーカー: State Univ of New York Pr発売日: 2000/06/01メディア: ハードカバ…

『北朝鮮をめぐる北東アジアの国際関係と日本』書評

北朝鮮をめぐる北東アジアの国際関係と日本作者: 平間洋一,杉田米行出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2003/09/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見るアマゾンのあるレビュアーが書いていたとおり、一般には左右どちらかに偏り…

石川准『アイデンティティ・ゲーム』1、5章

アイデンティティ・ゲーム―存在証明の社会学作者: 石川准出版社/メーカー: 新評論発売日: 1992/10メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (7件) を見る自分の論文の参考になりそうな第1章と第5章のみを読了。船津衛の「『自我』の社会学」と非…

船津衛「『自我』の社会学」評

岩波講座 現代社会学〈2〉自我・主体・アイデンティティ作者: 井上俊出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1995/12/04メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (6件) を見る船津衛「『自我』の社会学」井上俊他編『岩波講座現代社会学2 …

国家主権と人権規範

J. Samuel Barkin, "The Evolution of the Constitution of Sovereignty and the Emergence of Human Rights Norms," Millennium, Vol.27, No.2, pp.229-252.一般に人権規範と内政不干渉を前提とした国家主権システムは対立するものとして考えられている。そ…

阿部潔『彷徨えるナショナリズム』書評

彷徨えるナショナリズム―オリエンタリズム/ジャパン/グローバリゼーション作者: 阿部潔出版社/メーカー: 世界思想社発売日: 2001/09メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (6件) を見るCampbellやNeumannが論じている「我々/彼ら(自己/他者…

『知る』→『わかる』→『さとる』

大江健三郎「伝える言葉 「知る」と「わかる」:反復し「さとる」足場に」(朝日新聞2005年11月8日朝刊)あくまで個人的な印象なのだが、最近「議論できない人」が増えているような気がする。「議論する」とは、自分の理解では、相手の意見を批判的に吟味し…

神なき時代を生きよ―科学の神秘

「科学と宗教の関係」についてどのようなイメージをお持ちだろうか。一般には、この二つは対立する概念として見られているのではないだろうか。科学とは膨大なデータや事実を集めて、未知の世界を既知のものに変えていくプロセスであり、それは絶え間のない…

科学と宗教の接点を問う―『オウム真理教事件』から

l 村上陽一郎「科学時代と宗教」 佐倉統「百年後、科学は社会を支える基盤たりえているか?」 鬼頭秀一「宗教と科学技術のねじれた関係」 森岡正博「宗教なき時代を生きるために」(『オウム真理教事件―宗教者・科学者・哲学者からの発言』仏教・別冊No.8、…

田邊敏明『地球温暖化と環境外交』書評

地球温暖化と環境外交―京都会議の攻防とその後の展開作者: 田辺敏明出版社/メーカー: 時事通信社発売日: 1999/05メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る1997年に京都で開催された第3回枠組条約締約国会議(温暖化防止京都会議)で…

映画『誰も知らない』レビュー

ずっと見たかったのについにスクリーンで見るチャンスを逃してしまい、ようやくDVDで見ることになったこの映画。本当に見てよかった。しかもこの時期に見てよかった。この映画は実話(「巣鴨子供置き去り事件」)をモチーフにして、しかし子供たちの行動…

つれづれ日記:ウェブ上の論文は「凄いクォリティ」か

たやしんから議論が周ってきたので、ここでも議論ふることにします。最近こんなサイトがあるそうです。 http://www.happycampus.jp/ それでそれについての議論スレが以下だそうです。 http://shinta.tea-nifty.com/nikki/2005/08/report_4b17.html うーん、…

David Campbell, Writing Security書評⑩(完)

【Epilogue. The Disciplinary Politics of Theorizing Identity】この最終章では、アイデンティティ論の展望というよりは、アイデンティティ論が国際関係理論における主流派の理論家からどれほど誤ったイメージと浅薄な理解によって評価を下されてきたかが…

David Campbell, Writing Security書評⑨

【Chapter 8. The Politics of Theorizing Identity】この章では、アイデンティティの理論を従来の国際関係理論に取り入れることで、「政治的なるもの」(the political)の範囲が国家に矮小化されることを防ぐことができると述べられている。「言説」「テク…

吉野耕作『文化ナショナリズムの社会学』書評

文化ナショナリズムの社会学―現代日本のアイデンティティの行方作者: 吉野耕作出版社/メーカー: 名古屋大学出版会発売日: 1997/03/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 26回この商品を含むブログ (18件) を見る戦前・戦中の日本に典型的に見られた政治イ…

David Campbell, Writing Security書評⑧

【Chapter 7. Rewriting Security】冷戦が終結して「脅威の言説」は新たな脅威の対象を探し始めた。無秩序や不確実性に満ちた冷戦後の世界は、脅威になり得る対象には事欠かなかった(171頁)。その中でもとりわけ大きな注目を集めたのは、麻薬であった。レ…

David Campbell, Writing Security書評⑦

【Chapter 6. Writing Security】第1章において、NSC-68を引き合いに出して冷戦期における「脅威の言説」が明るみに出されたが、本章ではより詳細に、冷戦期のアメリカ国内における、アイデンティティ/差異をめぐる「推論的経済」(discursive economy)が…

David Campbell, Writing Security書評⑥

【Chapter 5. Imagining America】本章ではアメリカ草創期の歴史、すなわち大陸発見、植民地建設期、そして独立・共和政確立期のアメリカ史の中に、前章で述べられた「差異/アイデンティティ」の関係を見出す作業が進められる。もしベネディクト・アンダー…

David Campbell, Writing Security書評⑤

【Chapter 4. Foreign Policy and Difference】タイトル用の表記のため、本章のタイトルは「Foreign Policy and Difference」と頭文字が大文字になっていて紛らわしいのだが、前章の分類法(「foreign policy」と「Foreign Policy」)で行けば、この章で取り…

David Campbell, Writing Security書評④

【Chapter 3. Foreign Policy and Identity】前章末の予告どおり、本章ではホッブズの『レヴァイアサン』の読み換えが行われる。これまで主流と見られてきた対外政策論、ひいては国際関係論の理論を批判的に再検証するという本書の目的に即して、ここではリ…

David Campbell, Writing Security書評③

【Chapter 2. Rethinking Foreign Policy】本章では、対外政策に対する国際関係論における主流の見方が批判的に問い直される。例えば、国際関係論で頻繁に登場する方法論的対立軸に、分析レベル(level of analysis)の相違がある。対外政策決定における国内…

David Campbell, Writing Security書評②

【Chapter 1. Provocations of Our Time】「主体概念の不確実性」を認める立場から、対外政策の作成過程における脅威認識の生み出され方が恣意的であることを、この章では冷戦を引き合いに出して説明する。著者の主張に従うならば、冷戦についての従来から主…

David Campbell, Writing Security書評①

David Campbell, Writing Security: United States Foreign Policy and the Politics of Identity, Revised Edition, MN: University of Minnesota, 1998. 書評 本書はアイデンティティの政治を論じる上で、とりわけアイデンティティと安全保障問題の関係を…

矢吹久「ネイション概念の形成と歴史的展開」レビュー

矢吹久「ネイション概念の形成と歴史的展開」『思想』No.788(1990年12月)レビューネイションという語の語源であるラテン語のnatio(生まれ)がローマ帝国においてどのような集団を指していたのか、から始まり、そこから近代国民国家に至るまでのネイション…

Roxanne Lynn Doty, Immigration and national identityレビュー

Roxanne Lynn Doty, “Immigration and national identity: constructing the nation,” Review of International Studies, Vol.22 (1996), pp.235-255. レビュー ナショナル・アイデンティティは社会的に構成されたもので、本来的に絶えざる変化に晒されてい…

Robert Mandel, Armies Without States書評

Armies Without States: The Privatization of Security作者: Robert Mandel出版社/メーカー: Lynne Rienner Pub発売日: 2002/06/01メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (1件) を見るシンガーの『戦争請負会社』に次ぐ、「軍事(安全保障)の民営化…

P・W・シンガー『戦争請負会社』書評

戦争請負会社作者: P.W.シンガー,Peter Warren Singer,山崎淳出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2004/12/22メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 106回この商品を含むブログ (125件) を見るこれほど内容のまとめに手間をかけた本はない。しかしそれだけの作業…

新堀聰『評価される博士・修士・卒業論文の書き方・考え方』書評

評価される博士・修士卒業論文の書き方・考え方作者: 新堀聡出版社/メーカー: 同文舘出版発売日: 2002/06メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 112回この商品を含むブログ (12件) を見る「論文」と名乗る資格のある文章群について、そのための実質的・形式的…