2012-01-01から1年間の記事一覧

戦う自由主義者 猪木正道

五百旗頭真「猪木正道さんを悼む―言葉に強さ 戦う自由主義者」『朝日新聞』11月13日朝刊より。 70年代夏に(防衛大学校)第3代校長に就任し、改革に着手された。「広い視野、科学的思考、豊かな人間性」が防大創設以来の教育理念であったが、実は全学生が理…

『国連財政―予算から見た国連の実像』書評

国連財政―予算から見た国連の実像作者: 田所昌幸出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 1996/09メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る本書は、邦語では類書の少ない「予算から見た国連の実像」の学術的分析である。ほとんど注目を浴び…

イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策

イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策 1作者: ジョン・J・ミアシャイマー,スティーヴン・M・ウォルト,副島隆彦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/09/05メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 79回この商品を含むブログ (23件) を見る2分冊になっている…

生の短さについて

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)作者: セネカ,大西英文出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/03/17メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 39回この商品を含むブログ (88件) を見るセネカ『生の短さについて 他二篇』(岩波文庫)より。* * * われわれに…

カリスマリーダー

「僕だって、白馬に乗ったリーダーが現れて、ええいっとすべての問題を解決してくれたら、こんなにありがたいことはないと思います。でも、現実にはそんな人はいません。強いリーダー、カリスマのようなリーダーを待望するのは敗北主義。学生たちにもそう言…

人間の思考は漂流しやすい

創造的論文の書き方作者: 伊丹敬之出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2001/12/01メディア: 単行本購入: 11人 クリック: 74回この商品を含むブログ (29件) を見る「面白いシンボリックな事実から出発して仮説を育てるプロセスで、色々と調べることに目を奪われ…

没頭

孤独のチカラ (新潮文庫)作者: 齋藤孝出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/09/29メディア: 文庫購入: 10人 クリック: 35回この商品を含むブログ (12件) を見る「私が大学院へ行ったのは、日本の教育を変えようという大志があってのことだ。だが、私と他の人…

歴史データとの対話

修士1年の時に読んでおきたかった論文。 野宮大志郎「社会学における歴史的探究:データとの対話」『COSMOPOLIS』No.2(2008年)47-50頁より抜粋。* * *「その端緒においてまさに社会学の「典型的」なフォーマットであった歴史的研究方法は、20世紀後半に…

三井美奈『イスラエル―ユダヤパワーの源泉』

イスラエル―ユダヤパワーの源泉 (新潮新書)作者: 三井美奈出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/09/01メディア: 新書 クリック: 15回この商品を含むブログ (10件) を見るイスラエル支援のことになると米国人の多くが思考停止するということがよくわかる本。…

「挫折こそ万能の父」

朝日新聞2012年10月9日朝刊より。* * *高校では柔道、大学ではラグビー、いまもフルマラソンを走る。人情味が厚く、講演では笑いも起こる。50歳の若さでノーベル賞受賞が決まった山中伸弥・京都大教授はまるで「スーパーマン」。しかし、快挙への道のり…

領土問題の影響を憂慮する村上春樹による寄稿文より抜粋。 (朝日新聞9月28日朝刊より)* * *尖閣諸島を巡る紛争が過熱化する中、中国の多くの書店から日本人の著者の書籍が姿を消したという報道に接して、一人の日本人著者としてもちろん少なからぬショ…

歴史の参照の仕方

政治家が歴史事例を自分の主張の支えに使う時には注意が必要のようです。イランにもっと圧力をかけるようオバマに迫ったネタニヤフ(イスラエル首相)が、キューバ危機の時のケネディの対応を引き合いに出したのは「まったくの誤り」で、どこが間違いだった…

「小鳥草花言語学」

実戦・世界言語紀行 (岩波新書)作者: 梅棹忠夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1992/01/21メディア: 新書 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見る「外国語をまなんでも、どうせ土地のひととおなじように、その言語に習熟することなどはできるわけ…

基礎学力の客観的自己評価

読書の技法作者: 佐藤優出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2012/07/27メディア: 単行本購入: 10人 クリック: 361回この商品を含むブログ (68件) を見る佐藤優『読書の技法』より引用。 筆者は、神学を専攻していた関係で、哲学やキリスト教を専攻する…

中国は「政治の季節」

昨日たまたま読んでいた米議会調査局(CRS)レポートに、「中国は胡錦濤と温家宝を含むトップ9人のうち7人が2013年には引退する予定で、国家主席は習近平が継ぐ予定だが、それ以外の重要ポストがまだほとんど決まっておらず、党内でポスト獲得のための激しい…

人柄か政策か

この記事では、米大統領選で候補者が言う政策やイデオロギーよりも、人柄(キャラ)の方がよほど重要だと書かれています。選挙で何を言ったところで、予測不可能なことが起きれば全てふっとぶと言っています。 http://www.stratfor.com/weekly/character-pol…

デモクラシーと良識の劣化

クォン・ヨンソク一橋大学准教授のコメント(2012年9月12日・朝日新聞)より。「日中の尖閣諸島の問題も含め、これは東アジアの海の、本来の姿ではないだろう、と。近代西洋で生まれた国際法は、線を引いて排他的な領土や領海を規定します。このゼロサムの論…

Genius

Discover 増刊号 “Genius”(winter 2011)より。 http://discover.coverleaf.com/discovermagazine/201103?pg=27#pg27Productivity is strongly associated with scientific success. A study by Harriet Zuckerman shows that U.S. scientists who became N…

There they go again

選挙戦の流れを変える名演説でした。33分くらいからプロンプター(セリフ表示装置)が止まってしまったらしいので、そのあとはアドリブでしゃべってることになります。17:15あたりでクリントンが "There they go again" と言って聴衆が爆笑するシーンがあり…

アームストロングの精神

1969年に人類で初めて月面に降り立った男、ニール・アームストロングの追悼記事。「信仰に基づく進歩などというものはない(there is no such thing as faith-based progress)」という筆者の言葉が印象的でした。科学を軽視することに警鐘を鳴らし、アーム…

「トゥーキュディデースの罠」:中国の勢いとアメリカの不安

キューバ危機を組織過程モデルと政府内政治モデルから観察して、分析レベルの議論にも火をつけた国際関係論の名著『決定の本質』の著者グレアム・アリソンが、近年の中国の強硬な姿勢について面白い記事を書いています。 http://belfercenter.ksg.harvard.ed…

物書きになるには

評論家入門―清貧でもいいから物書きになりたい人に (平凡社新書)作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2004/11/01メディア: 新書購入: 2人 クリック: 52回この商品を含むブログ (110件) を見るいま文章を書くことと格闘している人に、何かの参考に…

荒俣宏の「仕事力」(続)

8月19日・朝日新聞求人欄より一部抜粋。* * *荒俣宏「恥をかけば力がつく」トライ&エラーは欠かせないどのような仕事でもそうですが、取り組み始めてすぐに思いがけなくいい結果が出たとしても、それは能力があるのではなく、単なるビギナーズラックだと…

イチロー語録

イチローUSA語録 (集英社新書)作者: デイヴィッド・シールズ,永井淳,戸田裕之出版社/メーカー: 集英社発売日: 2001/12/14メディア: 新書 クリック: 8回この商品を含むブログ (14件) を見るデイヴィッド・シールズ編『イチローUSA語録』(集英社新書)より抜…

荒俣宏が語る仕事

‎8月5日・朝日新聞求人欄より。* * *荒俣宏が語る仕事:「潜在力に投資しよう」関心領域を三つ、四つ本業以外の趣味が仕事力を深めていく 例えば営業職の人が、担当する得意先の人と趣味が同じだと分かった時には、おそらく急接近するでしょう。マンガ『…

Sense of Touch

「ポケットに手を突っ込んで世界を見てはいけない。それについて書くためには、手を伸ばして触れてみなくてはならない。」(マーク・トウェイン) "Don't look at the world with your hands in your pockets. To write about it you have to reach out and …

論証と誤謬

論証と論理作者: 大崎博出版社/メーカー: 成隆出版発売日: 2013/11/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログを見る「論証と誤謬」について引用(88〜86頁より)a. 合成の誤謬個々の場合について言われたことを、全体について拡大することによ…

内田樹「消費者マインドの弊害」

内田樹「消費者マインドの弊害」(朝日新聞4月8日朝刊・朝日求人欄)より。* * *最も少ない努力と引き換えに、最も高い報酬を提供してくれる職種、それを今の人たちは「適職」と呼びます。就職活動をする若者たちは適職の発見に必死です。でも、それは消…

Elke Kharmann, New Threats and New Actors in International Secur

New Threats and New Actors in International Security作者: E. Krahmann出版社/メーカー: Palgrave Macmillan発売日: 2005/01/13メディア: ハードカバー クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る本書は、国家や国際組織だけでは対処できない地球規…

Robert M. Perito, Afghanistan’s Police

治安部門改革について多くのレポートを出していて、The Police in War: Fighting Insurgency, Terrorism, and Violent Crimeの著書もある米平和研究所(United States Institute of Peace: USIP)のRobert Peritoによるアフガニスタンの警察改革のレポート。…