2005-02-01から1ヶ月間の記事一覧

チャルマーズ・ジョンソン『アメリカ帝国への報復』書評

アメリカ帝国への報復作者: チャルマーズ・ジョンソン,鈴木主税出版社/メーカー: 集英社発売日: 2000/06/26メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (9件) を見る知日家の草分け的存在であるチャルマーズ・ジョンソンによる、アメリカ…

Colin McInnes, Spectator-Sport War: The West and Contemporary Conflict(「スポーツ観戦としての戦争」)書評(CO: Lynne Rienner, 2002)

本書は、前世紀に人類が経験した二つの世界大戦のあと、戦争の質は根本的に変わってしまったという認識のもと、①どう変わったのか、②なぜ変わったのか、を説く。Mary Kaldorが“New War”(Mary Kaldor, New & Old Wars)と呼んだものを、本書の著者は“Spectat…

森孝一『「ジョージ・ブッシュ」のアタマの中身』書評

「ジョージ・ブッシュ」のアタマの中身―アメリカ「超保守派」の世界観 (講談社文庫)作者: 森孝一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2003/03メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 13回この商品を含むブログ (13件) を見るアメリカ建国の理念が、極めて原理主義的…

副島隆彦『現代アメリカ政治思想の大研究』書評

注意!:この本とほとんど同じ内容の本が文庫で『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』(講談社プラスアルファ文庫)という違うタイトル(実はサブタイトルとほぼ同じ)で出ています。自分は間違って両方買ってしまったので買う予定の人はお気を…

江藤淳『アメリカと私』(文春文庫、1991年)書評

(注:これは渡米直前に書かれた書評です。)アメリカと私 (文春文庫)作者: 江藤淳出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1991/03メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る江藤淳が初めて渡米したのは1962年、29歳の時である。今の自分と同じ年齢で、そ…

群ようこ『アメリカ居すわり一人旅』書評

アメリカ居すわり一人旅 (角川文庫)作者: 群ようこ出版社/メーカー: 角川書店発売日: 1991/01メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (9件) を見るたった3ヶ月の滞在でこれだけ密度の濃い生活を異国の地で経験できるのは、羨ましくかつ驚きである…

フォーリン・アフェアーズ『ネオコンとアメリカ帝国の幻想』書評

ネオコンとアメリカ帝国の幻想 (フォーリン・アフェアーズ・コレクション 特別版)作者: フォーリン・アフェアーズ・ジャパン出版社/メーカー: 朝日新聞社出版発売日: 2003/07/16メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見る標題に「ネ…

辻仁成『函館物語』書評

函館物語 (集英社文庫)作者: 辻仁成出版社/メーカー: 集英社発売日: 1996/09/20メディア: 文庫 クリック: 17回この商品を含むブログ (6件) を見る海をいつまでも眺めているのが好きという人はきっとたくさんいるだろう。はるか遠くから砂浜に座っているちっ…

つれづれ日記:高い高いアメリカの歯医者さん

今日はこのネタです。もうかなり前の話になるんですが、最近また関係した事件が起こってしまったので書きます。 自分がアメリカへ来たのは2004年1月。ほぼ1年前です。まあ初めは右も左もわからない状態で来て、少しずつ身の回りのことに慣れていきました。最…

猿谷要『アメリカ合衆国と私たち―1990年代への視点』書評

アメリカ合衆国と私たち―1990年代への視点 (朝日選書)作者: 猿谷要出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 1989/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る猿谷要『アメリカ合衆国と私たち―1990年代への視点』(朝日選書、1989年)書評80年代末に、…

野村達朗『「民族」で読むアメリカ』書評

「民族」で読むアメリカ (講談社現代新書)作者: 野村達朗出版社/メーカー: 講談社発売日: 1992/05/18メディア: 新書購入: 1人 クリック: 13回この商品を含むブログ (7件) を見るアメリカという国が、貧しい大量の移民を受け入れることで成長を遂げてきた国で…

猿谷要『物語アメリカの歴史―超大国の行方』書評

物語アメリカの歴史―超大国の行方 (中公新書)作者: 猿谷要出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1991/10/01メディア: 新書購入: 1人 クリック: 25回この商品を含むブログ (13件) を見る面白くて一気に読めた。建国期から現代までの歴史を生き生きと描いている…

井門富二夫編『アメリカの宗教伝統と文化』書評

アメリカの宗教伝統と文化作者: 井門富二夫出版社/メーカー: 大明堂発売日: 1992/09メディア: ハードカバー クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る玉石混交の論文集である。『「ジョージ・ブッシュ」のアタマの中身』(講談社文庫)や『宗教からよ…

つれづれ日記:ブログで会社をクビになる人たち

(写真:ワシントン大聖堂の外観)この話は最初、友人のブログで知ったのだが、2月11日付ワシントン・ポストにもこれについての記事が一面に出ていたので、紹介したいと思う。ポスト紙の記事のタイトルは「Free Expression Can Be Costly When Bloggers Bad-…

つれづれ日記:英会話「無駄な出だしフレーズ」の重要性

(写真:レーガン元大統領の国葬が行われたワシントン大聖堂の内部)なんか最近日記ばかし書いてんな。ていうか書評の時よりも日記載せた時のほうが明らかにカウンターの上がりが早い(笑)。そういうわけで、ネタ思いついたら随時日記書こうと思います。書…

三浦俊章『ブッシュのアメリカ』書評

ブッシュのアメリカ (岩波新書)作者: 三浦俊章出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2003/07/19メディア: 新書この商品を含むブログ (7件) を見るアメリカ人の顔が見える描写を通して、ネオコンの風潮や愛国心一色に染まっているアメリカという単純化されたイメ…

マーク・ハーツガード『だからアメリカは嫌われる』書評

だからアメリカは嫌われる作者: マークハーツガード,Mark Hertsgaard,忠平美幸出版社/メーカー: 草思社発売日: 2002/10/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見る時勢に媚びないタフなリベラル・ジャーナリストによるアメリカ批判…

つれづれ日記:アメリカにはなぜママチャリがないのか

昨年の10月頃だったと思うのですが、アメリカに来て初めて自転車を買いました。アメリカのスポーツショップやアウトドア・ショップを見て気づくのは、自転車といえばマウンテンバイクかサイクリング自転車しか売っていないことです。これはどうしてなので…

ジョン・スタインベック『アメリカとアメリカ人』(大前正臣訳)(サイマル出版会、1969年)書評

ノーベル文学賞作家のアメリカ人論である。原作のAmerica and Americansが世に出たのが1966年で、ベトナム戦争の真っ只中であった。アメリカ社会の分裂がピークを迎えるのはもう少し後のことだが、すでにこの時期、アメリカは病んでいた。スタインベックは国…

ジョン・スタインベック『アメリカとアメリカ人』書評

アメリカとアメリカ人―文明論的エッセイ (平凡社ライブラリー)作者: ジョンスタインベック,John Steinbeck,大前正臣出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2002/09/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (17件) を見る

古矢旬『アメリカ 過去と現在の間』書評

アメリカ 過去と現在の間 (岩波新書)作者: 古矢旬出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2004/12/21メディア: 新書購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (24件) を見るかつての岩波新書は、その道の権威である学者や知識人が、その該博な知識のほんの一…

David R. Smock, Religious Perspectives on War, Revised ed., Washington D.C.: United States Institute of Peace, 2002 (「宗教的視点から見た戦争」)書評

「正戦論(just war theory)」について書かれたものを読んだのは本書が初めて。「正戦論」の基準として、戦争が始まる前(Jus ad Bellum)のものと戦争が始まったあと(Jus in Bello)のものがあり、前者が「武力行使主体の正統性」(legitimate authority…