時勢に媚びないタフなリベラル・ジャーナリストによる
アメリカ批判の書。言葉の辛辣さでは及ばないものの、大統領選や環境問題をめぐる
アメリカ批判は、
マイケル・ムーアの『
アホでマヌケなアメリカ白人』を彷彿とさせる。各章末の抽象的な結論が多少奇麗事すぎるように感じたのと、現地で取材をした人の数が少なすぎるように思えたのが不満な点として挙げられるが、全体的にはバランスの取れた論調で、まだテロの余韻が覚めやらぬ時点でこれだけの幅広い
アメリカ社会批判を展開できるのは、主張の土台がしっかりしている証拠であると思う。同じく近年言説の保守化が目立つ日本において、同じレベルの自国批判を展開できる、視野の広いジャーナリストが果たしているだろうか。