2008-01-01から1年間の記事一覧

見ることと聴くことの哲学

声の文化と文字の文化作者: ウォルター・J.オング,Walter J. Ong,林正寛,糟谷啓介,桜井直文出版社/メーカー: 藤原書店発売日: 1991/10/31メディア: 単行本 クリック: 69回この商品を含むブログ (45件) を見る都会に住んでいる人は、ふだん多くのものを見て、…

ジョセフ・S・ナイ『ソフト・パワー』書評

ソフト・パワー 21世紀国際政治を制する見えざる力作者: ジョセフ・S・ナイ,山岡洋一出版社/メーカー: 日本経済新聞社発売日: 2004/09/14メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 16回この商品を含むブログ (31件) を見る多くの人がこの「ソフト・パワー」とい…

上田伸治『本と民主主義』書評

本と民主主義―アメリカの図書館における「表現の自由」の保護と制限作者: 上田伸治出版社/メーカー: 大学教育出版発売日: 2006/07メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (6件) を見る非常に面白く読んだ。この本はたまたま市立図書館…

林周二『研究者という職業』書評

研究者という職業作者: 林周二出版社/メーカー: 東京図書発売日: 2004/09メディア: 単行本購入: 7人 クリック: 107回この商品を含むブログ (24件) を見る研究者の大先輩である筆者が、これから研究者をめざそうとしている若者へ向けて、またはすでにその道に…

東京という街と人間の行動

田舎暮らしに殺されない法作者: 丸山健二出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2008/05/07メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 67回この商品を含むブログ (16件) を見る青空を見渡すことができ、広大な森林にも恵まれている東京郊外に住んでいると、新宿や…

手書きの手紙

以前にクリフォード・ストールの『インターネットはからっぽの洞窟』を読んだ時、「訳者あとがき」に、ストールはこの本を書く際に「筆記用具が作品におよぼす影響を検証する」実験も兼ねていたのだと書いてあった。つまり彼は3つの「筆記用具」(ワープロ…

安寿と厨子王、悲しき人買いの伝説

絵本や児童書の世界というのは奥が深い。 この分野に関しては自分もあまり強くないので、こういうのはやはり専門家の紹介に頼ることが多い。 どこで読んだのかは忘れてしまったが、あるところで誰かが「今でも『安寿と厨子王』を読んで涙する子供がいる」と…

公共図書館関連、2冊

公共図書館の論点整理 (図書館の現場 7) (図書館の現場 7)作者: 田村俊作,小川俊彦出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2008/02/21メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 77回この商品を含むブログ (17件) を見る浦安図書館を支える人びと―図書館のアイデンティ…

雨宮処凛『プレカリアート』書評

プレカリアート―デジタル日雇い世代の不安な生き方 (新書y)作者: 雨宮処凛出版社/メーカー: 洋泉社発売日: 2007/10メディア: 新書購入: 2人 クリック: 59回この商品を含むブログ (38件) を見る本書のタイトルである「プレカリアート」という言葉は、イタリア…

秋葉原の事件について

こういう事件が起きると、本当にいろいろな情報が飛び交う。なんでも鵜呑みにして決め付けないことである。 昨日の日記「人はなぜ差別するのか」でも書いたことだが、人間は目の前で理解不能なことが起こると、なんとかして自分が理解できる枠内に収めようと…

人はなぜ差別するのか

人間は「わからないという状態」を最も恐れる生き物である。自分に理解のできないもの、自分の認識の限界を大きく超えるものに対しては、人は強い否定的感情を抱く。 例えば、何年か前にニュースで有名になったハンセン病。ハンセン病について詳細を知ってい…

水島宏明『ネットカフェ難民と貧困ニッポン』書評

ネットカフェ難民と貧困ニッポン (日テレノンフィクション 1) (日テレBOOKS―日テレノンフィクション)作者: 水島宏明出版社/メーカー: 日本テレビ放送網発売日: 2007/12/20メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 5人 クリック: 68回この商品を含むブログ (28…

図書館のレファレンス・サービス

実践型レファレンス・サービス入門 (JLA図書館実践シリーズ (1))作者: 斎藤文男,藤村せつ子出版社/メーカー: 日本図書館協会発売日: 2004/08メディア: 単行本 クリック: 39回この商品を含むブログ (2件) を見る図書館関連の本をいくつか読んでいると、日本の…

心に残る映画:『ホテル・ルワンダ』

とんでもない衝撃の映画だった…。これは見たあとしばらく立ち直れない。間違いなく今までに見た映画のベスト3に入る。以前にフローラン・ダバディが著書『「タンポポの国」の中の私』の中で、「映画はアートであってエンターテインメントではない」「映画館…

心に残る映画:『インサイダー』――真のパートナーとは?

最初見た時の感動があまりに強くて、自分でDVDを買ってしまった映画がある。それがアル・パチーノ、ラッセル・クロウ主演の『インサイダー』である。大手タバコ会社の研究部門で働くワイガンド博士(ラッセル・クロウ)が、解雇されたのを機に内部告発を…

「Goodwill Hunting」名シーン――一番大切なものとは?

Good Will Hunting: A Screenplay作者: Ben Affleck,Matt Damon出版社/メーカー: Miramax発売日: 1997/12/01メディア: ペーパーバック購入: 1人 クリック: 59回この商品を含むブログ (1件) を見る今までに見てきた映画の数は数え切れないが、どうしても忘れ…

岡田斗司夫『いつまでもデブと思うなよ』書評

いつまでもデブと思うなよ (新潮新書)作者: 岡田斗司夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/08/16メディア: 新書購入: 45人 クリック: 675回この商品を含むブログ (594件) を見る 日頃から、「健康のためにはやせないといけない」と漠然とは思っていながら…

『蟹工船』を読む若い「左翼」たち

蟹工船・党生活者 (新潮文庫)作者: 小林多喜二出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1953/06/30メディア: ペーパーバック購入: 12人 クリック: 139回この商品を含むブログ (264件) を見る蟹工船 一九二八・三・一五 (岩波文庫)作者: 小林多喜二出版社/メーカー: …

「日本に知識人はいない」、「善意のマッドサイエンティスト」

月刊 現代 2008年 02月号 [雑誌]出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/12/28メディア: 雑誌購入: 1人 この商品を含むブログ (1件) を見る思考の補助線 (ちくま新書)作者: 茂木健一郎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2008/02/01メディア: 新書購入: 5人 ク…

We Are The World

マイケル・ジャクソンがリーダーになって、アフリカの貧困撲滅キャンペーンとして著名な歌手が大勢集まって作られた、この「We Are The World」という曲。 この曲はたしか大学に入りたての頃に何度も聴いてた曲です。 聴くたびに泣きそうになってました。い…

クリフォード・ストール『インターネットはからっぽの洞窟』書評

インターネットはからっぽの洞窟作者: クリフォードストール,Clifford Stoll,倉骨彰出版社/メーカー: 草思社発売日: 1997/01/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 57回この商品を含むブログ (28件) を見るインターネットは21世紀のあらゆる難題を解決に導…

コラム:「おいくらですか?」と聞けますか?

売文生活 (ちくま新書)作者: 日垣隆出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/03/08メディア: 新書購入: 1人 クリック: 31回この商品を含むブログ (65件) を見る毎月決まった給料をもらう公務員やサラリーマンならあまりそういう状況はないかも知れませんが、…

坂口安吾『なぜ生きるんだ。』書評

なぜ生きるんだ。―自分を生きる言葉作者: 坂口安吾出版社/メーカー: イースト・プレス発売日: 2006/10/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 17回この商品を含むブログ (16件) を見る『堕落論』を読んで以来、ずっと坂口安吾の思想が好きで、自分がしゃべ…

植村直己『極北に駆ける』書評

極北に駆ける (文春文庫)作者: 植村直己出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1977/11/25メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (10件) を見るこの文庫が世に出てからすでに30年以上が経っている。脈略もなく偶然読むことになったこの本…

コラム:研究と家庭は両立するか

優れた研究者の中には、家族の存在が研究の障害でしかないとはっきり言う人もかなりいる。考え方は人それぞれだし、優れた研究者でもきちんと家族がある人はいくらでもいる。それでも、「研究と家庭」の関係について論じている人たちの書いたものを比較して…