2005-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ギャリー・アルセン『アメリカ暮らしの常識・非常識』(小松哲史訳)(ジャパンタイムズ、1992年)書評

読みやすいアメリカ人論。ただ、訳者は「偏りがない」と評価するけど、自分にはやっぱりアメリカ人がアメリカ人を論じることの限界も目に付くように思われた。全体的に「アメリカ人はこうなんだから仕方がない」という考えで一貫していて、悪いところは直そ…

つれづれ日記:留学生と大家さんのゴタゴタ@DC

今日は実際にいま自分が住んでいる家で起こったことを書きます。自分の日記としての目的と、留学中の学生または留学しようと思っている人に参考にしてほしいという思いから、できるだけ詳細に書こうと思います。 いま自分は、ワシントンDCのとある高級住宅…

ジョセフ・コンラッド『闇の奥』(岩波文庫、1958年)書評

闇の奥 (岩波文庫 赤 248-1)作者: コンラッド,中野好夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1958/01/25メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 39回この商品を含むブログ (57件) を見る過去に書きためた小説の書評はこれが最後です。自分の書評を読んでみてほんと…

ヘルマン・ヘッセ『デミアン』(新潮文庫、1951年)書評

「ドイツのノーベル賞受賞作家ヘルマン・ヘッセの1919年、42歳の時の作品」(Amazon.co.jpによるレビューより)。10歳の少年シンクレールは、家族や世間に代表される秩序と美徳の世界から抜け出して、もう半分の世界、すなわち「そうぞうしい、どぎつい、暗…

辻仁成&鷺沢萠書評――恋愛小説と映像化

太陽待ち作者: 辻仁成出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2001/10メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (7件) を見るいまこの瞬間 愛しているということ作者: 辻仁成出版社/メーカー: 集英社発売日: 2003/11/05メディア: 単行本購入: 1人 クリ…

つれづれ日記:スキミング集団とグルだったゴルフ場支配人

(写真:スキミング。警視庁のサイトより。)昨日はブッシュ大統領の就任演説がありましたが、自分は新聞でしか見てないので、どれくらいの盛り上がりを見せていたのかは活字を通してしか知りません。今日の新聞(21日付)はInauguration特集の記事がたくさ…

山本文緒『恋愛中毒』(角川文庫、2002年)書評

恋愛中毒 (角川文庫)作者: 山本文緒出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2002/06/25メディア: 文庫購入: 11人 クリック: 71回この商品を含むブログ (127件) を見る林真理子が言うように、ラスト怖かった…。水無月美雨が、井口に「今日、井口君の番号、その子に…

志賀直哉『和解』(新潮文庫、1949年)書評

第一子の早すぎる死による絶望感と、第二子の誕生による生に対する喜びという対照的な経験が、主人公の父親に対する姿勢の変化と時を同じくしている。前者の経験が父を始めとする家の者全てに対する憎悪を高めたのであり、逆に後者の経験によって「自分には…

小谷野敦『評論家入門―清貧でもいいから物書きになりたい人に』書評

評論家入門―清貧でもいいから物書きになりたい人に (平凡社新書)作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2004/11/01メディア: 新書購入: 2人 クリック: 52回この商品を含むブログ (110件) を見る『バカのための読書術』以来、すっかり小谷野敦のファ…

モブ・ノリオ『介護入門』(文藝春秋、2004年)書評

介護入門作者: モブ・ノリオ出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2004/08/26メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 14回この商品を含むブログ (121件) を見る第131回芥川賞受賞作である。著者は1970年生まれだから自分と4つしか違わない。たいしたものだ。著者…

桜井邦朋『続大学教授―日々是好日』(地人書館、1992年)書評

【印象に残った箇所】 「人間にはその一生の間に、自分の関心や趣味が変わることなど大いにあることにちがいない。また、その人間が研究者であったり、大学教授であったりした場合に、その専門とする研究分野を変えるなどといったこともあるにちがいない。私…

藤原帰一『戦争を記憶する―広島・ホロコーストと現在』書評

戦争を記憶する 広島・ホロコーストと現在 (講談社現代新書)作者: 藤原帰一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2001/02/20メディア: 新書購入: 3人 クリック: 15回この商品を含むブログ (31件) を見る今までコメントは「はてな」ユーザーしかできないものと思っ…

桜井邦朋『大学教授―そのあまりに日本的な―』(地人書館、1991年)書評

自称「はみだし人間」(あとがき)による、日本の大学の閉鎖的な体質に対する告発には十分説得力があるし、著者の考えの多くは最もなものだと思う。日本人の場合、書物や論文、新聞を読む時に、批判的な目をほとんど持たずに読むのだという指摘(36〜37頁)…

「社会人大学院」本2冊書評―方法論とは何ぞや

社会人大学院へ行こう (生活人新書)作者: 山内祐平,中原淳,社会人大学院研究会出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 2003/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (7件) を見る私の社会人大学院体験記作者: 加茂英司出版社/メ…

天野郁夫『大学―挑戦の時代』(東京大学出版会、1999年)書評

大学―挑戦の時代 (UP選書)作者: 天野郁夫出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 1999/02メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見るかしこまった文体でありながら、全体的には平均的な大学論、もっと言えば無難な議論を展開しているように感じた。…

潮木守一『キャンパスの生態誌―大学とは何だろう』(中公新書、1986年)書評

大学崩壊論や学力低下論の中では、「昔はよかった」式の懐古的議論が出てきやすいものである。しかしながら、本書を読めば、大学とは昔から今と同じような問題を抱えてきた存在であり、「大学というものは、放って置けばいくらでも転落の道を辿る危険性を持…

和田秀樹『学力崩壊』書評

学力崩壊―「ゆとり教育」が子どもをダメにした (PHP文庫)作者: 和田秀樹出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2003/03メディア: 文庫 クリック: 7回この商品を含むブログ (6件) を見る実はこの著者には高校時代の思い出がある。同じ寮の友人からすごくいい受験…

嵐山光三郎『死ぬための教養』(2003年、新潮新書)書評

死ぬための教養 (新潮新書)作者: 嵐山光三郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2003/04/10メディア: 新書 クリック: 4回この商品を含むブログ (11件) を見る本書は、著者が吐血や交通事故で死にかけた時の実体験をもとに、床に伏せている間に読んだ、何らかの…

川成洋『大学崩壊!』(宝島社新書、2000年)書評

本書の内容は、『だから教授は辞められない』とほぼ重なるものである。学問の世界からはとっくの昔に引導を渡された「教授」が「学内政治屋」として暗躍する実態、そのような教授の職業病と言っても過言ではない、すさまじいアカハラ(アカデミック・ハラス…

川成洋編『だから教授は辞められない―大学教授解体新書』書評

研究者をめざそうと決意した人は、大学院に進学してから最低でも10年は苦しい生活を余儀なくされる。学部を卒業してそのまま就職した同期生に比べれば、定職に就いて経済的に独立できるのが最低でも10年遅れることになる。しかもこの最低10年というのは、た…

高島俊男『本が好き、悪口言うのはもっと好き』書評

本が好き、悪口言うのはもっと好き (文春文庫)作者: 高島俊男出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1998/03/10メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 35回この商品を含むブログ (35件) を見る言葉と文字へのこだわり。真っ先に受けた印象はこれだ。「檄を飛ばす」…

辻仁成『ガラスの天井』(集英社文庫、1997年)書評

ガラスの天井 (集英社文庫)作者: 辻仁成出版社/メーカー: 集英社発売日: 1997/07/18メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る辻仁成のエッセイ集、本書と『そこに僕はいた』(新潮文庫)を2冊続けて読んだ。小説からだけではわからな…

辺見庸『単独発言―私はブッシュの敵である』書評

単独発言―私はブッシュの敵である (角川文庫)作者: 辺見庸出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2003/04メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見るエノラ・ゲイ号の展示が再びアメリカで問題となっている。テレビの映像にはアメリカの学者や市民団体が、…