2010-01-01から1年間の記事一覧

ホルブルックの死

ボスニア紛争でデイトン合意に至る道筋を作って紛争を終わらせ、のちに国連大使も務め、オバマ政権ではアフガニスタン・パキスタン担当特使として最前線にいた大物外交官のリチャード・ホルブルックが、なんと自分がワシントンDCに着いた13日に急死しました…

齋藤孝『15分あったら喫茶店に入りなさい』書評

15分あれば喫茶店に入りなさい。作者:齋藤 孝発売日: 2010/09/01メディア: 単行本これは、ふだん自分が思っていることをまさにそのまま本にしてくれたような内容の本である。ルーティンの仕事が多すぎて良いアイデアが出てこない職場と、諸々の誘惑物があっ…

同情にも称賛にも値しない

元外務省主任分析官の佐藤優氏が、11月12日の朝日新聞で「尖閣映像の流出」について語っている。「まず、上司に公表を求め、受け入れられないなら、辞表を提出し、一私人となってからデータを流す手順が不可欠だった」と述べている箇所については、そんなこ…

M・スコット・ペック『平気でうそをつく人たち』書評

平気でうそをつく人たち―虚偽と邪悪の心理学作者: M.スコットペック,M.Scott Peck,森英明出版社/メーカー: 草思社発売日: 1996/12メディア: 単行本購入: 14人 クリック: 206回この商品を含むブログ (91件) を見る軽いタッチのタイトルとは裏腹に、最初から最…

States, Citizens and the Privatization of Security書評

States, Citizens and the Privatisation of Security作者: Elke Krahmann出版社/メーカー: Cambridge University Press発売日: 2010/02/04メディア: ハードカバー クリック: 8回この商品を含むブログ (1件) を見る本書の筆者の仮説は、「80年代から冷戦後に…

日本人の事なかれ主義は女のせい?

American Pie Slice of Life Essays on America and Japan作者: ケイヘザリ,Kay Hetherly出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2000/11/14メディア: 新書購入: 7人 クリック: 26回この商品を含むブログ (13件) を見る日米文化比較のエッセイ集、Kay Hetherly, Am…

星の王子さま

星の王子さま (新潮文庫)作者:サン=テグジュペリ発売日: 2006/03/28メディア: 文庫『星の王子さま』(新潮文庫)を懐かしく読み返してみた。一番印象的だったのは、王子さまの以下のセリフ。 「ぼくはあの花に責任があるんだ!それにあの花、ほんとうに弱い…

勢古浩爾『ビジネス書大バカ事典』書評

ビジネス書大バカ事典作者: 勢古浩爾出版社/メーカー: 三五館発売日: 2010/05/21メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 5人 クリック: 79回この商品を含むブログ (19件) を見る勢古浩爾の本は、公の場で読んでいる時には気をつけないと吹き出してしまう恐れ…

アンドレ&レジュロン『他人がこわい』書評

他人がこわい―あがり症・内気・社会恐怖の心理学作者: クリストフアンドレ,パトリックレジュロン,Christophe Andr´e,Patrick L´egeron,高野優,野田嘉秀,田中裕子出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2007/03/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 46回こ…

明治海軍的リストラ

新装版 坂の上の雲 (3) (文春文庫)作者: 司馬遼太郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1999/01/10メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 36回この商品を含むブログ (119件) を見る読む優先順位があって少しずつしか先に進まないのだけど、文庫版『坂の上の雲』…

協働の効用

勉強にしてもスポーツにしても、その他の趣味にしても、好き嫌いの分かれ目は「協働の楽しさ」を知らないことから来るような気がする。授業中にわからない問題に遭遇すると、一人でウンウン悩んでずっと先へ進めない子がいる。なぜとなりの友達に聞かないの…

沖縄の基地

沖縄へは今までに三度行ったことがある。自分の思い込みかも知れないが、地元の人と話していて壁を感じたり、時々観光客に対する刺すような視線を感じることがあったように思う。沖縄の米軍基地の現状に、表面的に何とかしなければという気持ちを持っても、…

仲正昌樹『ネット時代の反論術』書評

かなり過激な、ネット上での論争対処術の本である。論争に勝つこと自体に意味はないとか、論争の答えは社会的な力関係によって決まるとか、そもそも論争主体の人間の理性を信頼していないとか述べられていて身も蓋もないが、それが安易でお気楽な「ディベー…

映画『おくりびと』とケガレ思想

穢れと茶碗―日本人は、なぜ軍隊が嫌いか (ノン・ポシェット)作者: 井沢元彦出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 1999/02メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (12件) を見るドキュメント 屠場 (岩波新書)作者: 鎌田慧出版社/メーカー: 岩…

勢古浩爾『目にあまる英語バカ』書評

目にあまる英語バカ作者: 勢古浩爾出版社/メーカー: 三五館発売日: 2007/03/16メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 25回この商品を含むブログ (16件) を見る本書のタイトルにある「英語バカ」の定義は、「英語を宝石のような、だれもが羨む…

ネットで偏る思考と人間関係

クラウド化する世界~ビジネスモデル構築の大転換作者: ニコラス・G・カー,村上彩出版社/メーカー: 翔泳社発売日: 2008/10/10メディア: 単行本購入: 21人 クリック: 162回この商品を含むブログ (159件) を見るグーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)作者:…

英語教育原論

英語教育原論作者: 寺島隆吉出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2007/07/31メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (3件) を見るたまたま市立図書館の本棚で見かけた、寺島隆吉『英語教育原論』(明石書店、2007年)という本を読みました。いろ…

坂の上の雲

新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)作者: 司馬遼太郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1999/01/10メディア: 文庫購入: 13人 クリック: 168回この商品を含むブログ (473件) を見る司馬遼太郎の『坂の上の雲』。まだ読み途中ですが、噂に聞いてたとおり人物描…

たかが言葉、されど言葉

相手が自分と話していてその会話を楽しいと思えるかどうかの分岐点は、自分の考えでは「言いかえの的確さ」ではないかと考えています。相手が言ったことを、「それは○○ということですよね」と違う言葉でかつ相手がまさに考えていることを的確に表現できたら…

イスラエルと広島

4月20日付の朝日新聞「私の視点」欄で、モントリオール大学のヤコブ・ラブキン教授(歴史学)による「建国祝えぬユダヤ人も」と題した投稿記事を読んだ。自分がよく知らない分野についての理解は、単純化しすぎたステレオタイプに流されやすいものである。「…

他者の期待と自己実現

人間は誰でも他者からの期待を受けて生きている。たとえ身寄りのない孤独な人であっても、社会の中で一定の役割を果たすことを求められているという点では、期待を受けて生きていると言ってよい。最低限、反社会的な行為を取らないという消極的な期待であれ…

ポスト構造主義と国際関係論

Theories of International Relations作者: Scott Burchill,Andrew Linklater,Richard Devetak,Jack Donnelly,Terry Nardin出版社/メーカー: Palgrave Macmillan発売日: 2009/03/15メディア: ハードカバー クリック: 8回この商品を含むブログ (1件) を見る R…