つれづれ日記:ブログで会社をクビになる人たち

sunchan20042005-02-13

(写真:ワシントン大聖堂の外観)

この話は最初、友人のブログで知ったのだが、2月11日付ワシントン・ポストにもこれについての記事が一面に出ていたので、紹介したいと思う。ポスト紙の記事のタイトルは「Free Expression Can Be Costly When Bloggers Bad-Mouth Jobs」(ブロガーが仕事の悪口を書いた時、表現の自由は高くつくかも知れない)。

ある新聞社で働いていたレイチェル・モンステラーは、ブログで会社での仕事や同僚たちをバカにするような内容のことを書いたために、会社を解雇された。しかし彼女は会社名や上司・同僚の実名は一切書いていないし、自身ブログが問題になるとは夢にも思っていなかった。

自分が書いたブログで解雇された例で最も有名になってしまったのが、大手航空会社の客室乗務員だったエレン・シモネッティ(ちなみにスチュワーデスという言葉はそのうち使われなくなるんでしょうかね)。彼女は自分のブログに、会社の制服を着て誰も乗っていない飛行機の中で写した自分の写真を掲載したことが理由で解雇された。上司は「制服の誤った使用(a misuse of uniform)」が理由だと言う。

ブログはパスワードを設定して、ごく親しい友人しか読めないようにすることもできる。しかし、ポストの記事いわく、「ブログを始める理由の一つは、自分の話を聞いてもらいたいからだ」。NYのレストランでウェイターをしている人が、匿名で客との間で経験した不愉快な経験をブログに書いていたが、初めは自分のブログの存在を誰にも知らせなかったという。しかし自分のブログが誰からも注目を受けないのに苛立ちはじめ、ある日、有名なブロガーとリンクを張ることにした。すると1日に1000人以上もの人が訪問してくるようになったという。「何かを作っている人なら誰だって、他人の意見を欲するものだ」と彼は言う。

Eメールとインターネットに関しては、「勤務時間中の不適切な利用」に対処するために、ほとんどの会社が利用方針をすでに決めているという。しかし、勤務時間外の社員のパソコンの利用についてまできちんとした方針を決めている会社はほとんどないのが現状だとポスト紙は書いている。前出のシモネッティ氏は、ブログについての明確な方針もないのに解雇するのは不当だとして訴えを起こし、「Bloggers Rights Movement」を始めたそうだ。

前にも書いたように、最近は猫も杓子もブログの時代。更新もコメントの書き込みも簡単だし、自分が削除しない限りはずっと保存されている。確かに便利なものであることに変わりはない。しかし、ポスト紙が指摘するように、かりに匿名にして相手が特定されないように配慮して書いたとしても、書かれた当人や会社の同僚にはすぐにわかってしまうのが普通である。

最近は、会社にとっての社員のブログの利点を認識する会社も出てきているという。会社と外部の世界とのコミュニケーションを密にし、新しいコミュニティの形成に寄与しうるという期待が下敷きになっている。しかし明確なポリシーが存在しない状況では、書く側と書かれた側のブログをめぐる意見の食い違いが起こるのはむしろ当然だろう。

ブロガーのみなさん、気をつけましょうね。特に自分が所属する会社や団体について批判的に書く際は、誰がどこでこれを見ているかわからないという意識が必要なのは間違いないでしょう。