デモクラシーと良識の劣化

クォン・ヨンソク一橋大学准教授のコメント(2012年9月12日・朝日新聞)より。

「日中の尖閣諸島の問題も含め、これは東アジアの海の、本来の姿ではないだろう、と。近代西洋で生まれた国際法は、線を引いて排他的な領土や領海を規定します。このゼロサムの論理が帝国主義や戦争の原因にもなりました。でもかつての東アジアの海は、はるかにルーズでした。どこから「こっち」でどこから「あっち」なのか、入り乱れた中で交易があり、文化が花開いた。侵略しないかぎり境界は寛容で、多様性を認めていた。様々な地域の文化が混交した国際色豊かな日本の奈良時代は、その典型です。」

「日本も韓国も民主主義国ですが、この夏の喧噪は、双方のデモクラシーと良識が劣化している兆候に見えました。東アジアの将来のためにも、両国の知的な連帯や市民的なネットワークの再構築が望まれます。」