戦う自由主義者 猪木正道


五百旗頭真猪木正道さんを悼む―言葉に強さ 戦う自由主義者」『朝日新聞』11月13日朝刊より。

70年代夏に(防衛大学校)第3代校長に就任し、改革に着手された。「広い視野、科学的思考、豊かな人間性」が防大創設以来の教育理念であったが、実は全学生が理工系を専攻し「科学的思考」以外は科目展開されていなかった。先生は国際政治学を中心に人文社会系を併設し、「広い視野」と「豊かな人間性」をカリキュラムで裏打ちされた。

自衛隊のような国を守る実力組織には、右の国家主義的な極論に弱いところがある。それだけに作家の三島由紀夫自衛隊員にクーデターを呼びかけ、割腹自殺した事件は不気味であった。その時、先生は朗々と三島の主張の誤りを論じて、自衛隊を感染から守った。猪木先生でなければできない立派な戦いだったと思う。