「情報とは誰かの痛みだ」(村本大輔)
村本大輔『おれは無関心なあなたを傷つけたい』ダイヤモンド社、2020年より。
僕たちは、よくニュースで「情報」を得るとか、熊本の被災地の「情報」を教えてとか、よく「情報」という言葉を使う。テレビや新聞、ネットニュースからも「情報」を得る。
僕が現場に行って知ったのは、僕が「情報」という言葉を使っていたその実態は「痛み」だった。誰かの痛みだった。(p.48)
テレビのニュースを見て情報を勉強する?
馬鹿なことを言っちゃいけない。そんなもんじゃない。ニュースは誰かの痛みをずっと伝えている。
しかし、コメンテーターはコメンテーターとして処理し、視聴者の大人は大人として処理をする。ニュースを語るものと知るものごっこのために、エンタメとして消費されていく。誰かの痛みが。(p.50)
声なき声ではない、聞こえているのに聞こえないふりをしているのはおれたちだ。それはただの情報だ、と理由をつけ、しょうがない痛みだと切り捨ててしまう社会に、日々変化しているような気がする。
僕らが知るべきは、大人が教えるべきは、情報ではなく「痛み」だ。僕らがなるべきは、情報を知っている人間でなく、「痛み」を知っている人間だ。(pp.51-52)