障害者殺しの思想

【増補新装版】障害者殺しの思想

横田弘『障害者殺しの思想【増補新装版】』現代書館、2015年より。

 

 高度経済成長が謳われている時は金に任せて巨大コロニーを造り上げ、生産力の可能な「家庭」を守るために次々に障害者を送り込み、ひとたび不況、インフレが起れば「福祉見直し論」をブチ上げ、僅かばかりの手当まで打ち切る「福祉政策」、障害者が街のなかで生きることに動物的嫌悪感を懐き、車イスのバス乗車をはじめ、自分達の「労働」と「生活」を守る為には、障害者の切実な要求をも抑圧して行こうとする労働者達。障害者児の存在を己れの恥とし、己れ自身で殺していく親達。障害者の存在を異形、異質の物としてのみ捉え、隣人として、また、仲間として捉えることのできない地域の住民たち。そうした健全者社会の在り方すべてが、障害者を、そして私を殺していくのである。(p.9)