日本の国会議員が海外の歴史学者200人以上に送った本が逆効果だった理由

歴史戦と思想戦 ――歴史問題の読み解き方 (集英社新書)

山崎雅弘『歴史戦と思想戦―歴史問題の読み解き方』集英社新書、2019年より。

「本書をここまで読まれた方なら、猪口邦子らが海外の「二〇〇人を越える人たち」に送付した二冊の書物が、なぜ受け取った歴史学者やジャーナリストに強い不快感や嫌悪感を覚えさせたのか、その理由がすぐにわかるはずです」(p.240)

「ひとつは、それが自覚的か無自覚かを問わず、「大日本帝国の擁護」という結論から逆算した内容であること。ふたつ目は、それらの書物の書き手が、実証的な作業を重んじる歴史研究の手法を踏まえておらず、何十年も地道に研究を重ねてきた内外の歴史家に何の敬意も払っていないことが、文章の端々から読み取れるからです」(同上)