「グローバリズム」の歴史社会学

朝日新聞2013年5月19日の書評欄より。

グローバル経済が進展しても国家は決して後退しないことを理解するためには、資本主義経済において国家がはたしている根本的な役割を考察しなくてはならない。なぜ2008年の世界金融危機のとき、あれほど「政府は市場から出ていけ」と主張していた金融機関に、公的資金の注入がなされたのか。歴史的な事実として資本主義が国民国家のもとで発展してきた理由についても説明を試みている本書は、そうした国歌の役割を考えるうえで極めて重要な論点を提供している。通俗的グローバリズム論から脱却するための必読の書である。(萱野稔人津田塾大学准教授)