映画『THIS IS ENGLAND』


先日新聞の映画欄を見て家の近くにミニシアター系の映画館があることを初めて知り、サイトで調べてみたら見ようと思ってまだ見ていなかった、


『This is England』
http://www.thisisengland.jp/


がちょうど上映中でした。東京でもミニシアター系の映画館でしか上映されておらず、上映期間も短い映画です。

久しぶりにいい映画を見ました。80年代のうらぶれたイギリス社会の様子がものすごく具体的に伝わってきます。BGMで流れる80年代の音楽も懐かしさを感じる曲で好きです。今までも『リトル・ダンサー』とか『フルモンティ』とかで同時期のイギリス社会を描いた傑作はいろいろ見てきたけど、この映画もそれに引けを取らない傑作でした。

(コミックの『マスター・キートン』も同時期のイギリスを背景にした傑作だけど、やっぱりフォークランド戦争の映像はリアルです。)

でもこの映画はずいぶんと暴力シーンが多いので、そういうのに免疫がない人にはあまり勧められません。でもこれは見たほうがいい映画だと思います。


見て感じたのは、戦争は戦場から遠く離れた社会にいる人たちの心理にもじわじわと効いてきて、精神を確実に蝕んでいくんだということ。

スキンヘッドや右翼政党「国民戦線」の人たちのようにいくら戦場から遠く離れたところで勇ましいことを言ってみても、きっとこの人たちは自分が死ぬ場面になったら怖くて泣き出すだろうし、恋愛感情を持ったらまるで子供のようにダダをこねたりする。

人間は弱い弱い生き物で、ちょっとした暴力で簡単に死ぬし簡単に精神が崩壊する。その弱さを前提にしない勇ましさは、すべて偽物だと思う。


6月に『チョコラ(chokola)』というケニアストリートチルドレンを描いた映画が同じ映画館で上映されるらしいので、また見に行こうと思っています。
http://www.chokora.jp/