「ウエディングドレスは死に装束」(美輪明宏)

朝日新聞(2013年3月23日)土曜版be「悩みのるつぼ」より。

よく結婚式で「おめでとう」と言いますが、まったくおめでたくないと思います。「えらいことしましたね。大丈夫ですか」というのが私の思いです。結婚というのはもちろん良いこともありますが、たいへんなこと。たとえ血がつながっていても、2人以上の人間が一つ屋根の下に暮らすのはしんどいのですから、まして他人となれば「努力」「忍耐」「あきらめ」の連続以外の何ものでもありません。

結婚というのは「決別式」。夢と自由に別れを告げ、今日から夫や子どものため、現実に取り組むという覚悟の儀式です。だからウエディングドレスの白は「死に装束」だと、私は常々言ってきました。(美輪明宏