日本語倶楽部編『そんな言葉づかいでは恥をかく』書評
そんな言葉づかいでは恥をかく―日本語、常識知らずと言われないために (KAWADE夢文庫)
- 作者: 日本語倶楽部
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1999/02/01
- メディア: 文庫
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①「課長が申されましたように」(31頁)
②「課長がご説明してくださった」(32頁)
③「課長、部長がお呼びしています」(47頁)
④「部長の佐藤様はおられますか?」(74頁)
⑤「戻りましたら電話させます」(115頁)
⑥「先日、祖母が亡くなりまして」(161頁)
⑦「部長はゴルフをおやりになるとか」(164頁)
⑧「書類をご持参ください」(218頁)
⑨(社外の人に対して)「確かに課長に申し上げておきます」(79頁)
恥ずかしながら、自分は「別にいいのでは?」って思っていたものが多々ありました。
①謙譲語の「申す」を目上の人に使っている時点ですでにおかしいが、謙譲語と尊敬語の 「〜される」を一緒に使っている点で文法的にもおかしい。
②「ご〜する」「お〜する」は謙譲表現。「ご説明する」「ご連絡する」「お持ちする」などは全て自分の行為をへりくだって言うもの。「ご」「お」がついていればそれは尊敬語というのは間違い。この場合は「課長がご説明くださった」が正解。
③②と同じく「お〜する」で謙譲表現だから、部長が課長にへりくだるというのはおかしい。正しくは「課長、部長がお呼びです」。
④これは少し納得できない人もいると思うし、自分も初めはなんで?と思いました。本書いわく、「おります」というのは「いる」の謙譲語で、「いる」自分をへりくだらせて、相手に敬意を払う表現。「昔、あるところに猟師がおりました」のように、へりくだるニュアンスがなくても「おります」が使われている場合もあるが、それでも駅のアナウンスなどで「おりましたらご連絡ください」という言い方は、半数以上の人が気になると答えているそうだ。だから正しくは「部長の佐藤様はいらっしゃいますか」となる。
⑤外部の人に対しては、たとえ上司であっても敬語は使わない。その点で「させる」というのは間違いではないが、このままでは相手への敬意がない。そこで「戻りましたら、お電話を差し上げるよう申し伝えます」と言えば完璧。
⑥「亡くなる」は尊敬語で、身内に対して使う言葉ではない。「先日、祖母に死なれまして」が無難。
⑦「やる」というのは「私はゴルフをやる」「私は野球をやる」のように、あくまで「私」が主体の時に使われる。他人への敬語の中で使うものではない。「部長はゴルフをなさるとか」が正解。
⑧これって結構普通に使われてますね。「持参」の「参」は「参る」で、もともとは謙譲語。それに尊敬の「ご」をつけてもやっぱりおかしいまま。「ご用意ください」とか「お持ちください」の方が正しい。
⑨⑤と同じで、社外の人間に対して使う時、上司であっても自分の会社の者に敬語は必要ない。従って「申し上げておきます」がおかしい。「確かに課長に申し伝えます」となる。
「お〜する」「ご〜する」が謙譲表現というのは、正直に言うと知りませんでした。でも普段普通に「こちらからご連絡致します」(「致す」は「する」の謙譲語だから同じ)とか使ってるから、実際には無意識のうちにわかっているのでしょう。
ちなみに以下のような「手紙の中の敬語」を実行していた人はどれくらいいるだろうか?自分はこんなこと一度もしたことなかった…。
パーティーや結婚披露宴の招待状には、主催者に出欠を知らせるための返信用ハガキが同封されていることが多い。こうしたハガキでは、たいてい『ご出席』『ご欠席』、そして『御住所』『御芳名』などが印刷されているが、返事を書くときにもっともまずいのは、『ご出席』とか『ご欠席』のどちらかに○をつけ、『御住所』『御芳名』をそのままにして、その下に住所や名前を書くというもの。『御』という文字を残したままでは、自分で自分を尊敬していることになってしまうというわけである。
こうした場合、出席するのなら『ご欠席』を消し、さらに『ご出席』の『ご』や『御住所』の『御』、そして『御芳名』の『御芳』という文字を消すのが常識である。しかし、このとき消す文字を黒くぬりつぶすのはあまり感じがいいものではない。=線を引くくらいでちょうどいいだろう。
さらに『出席』や『欠席』のあと、『させていただきます』と書きそえれば、もっと丁寧な返事になるし、欠席する場合は、お祝いの言葉とともに欠席の理由も書きそえておきたいところだ。
最後に忘れてならないのが、表の宛名の下にある『行』という文字。これも=線で消し、『様』や『御中』に直しておくのが常識である。(202〜204頁)
「もっともまずい」とか「常識である」とか言われてグサグサ来るのは自分だけでしょうか。