逆風は快楽である(上野千鶴子)

上野千鶴子のサバイバル語録

上野千鶴子上野千鶴子のサバイバル語録』文藝春秋、2016年より

 「逆風は快楽である

 「逆風に強い」とも言われたことがある。

 ひんしゅくは買うもの、とばかり、他人のいやがることをしてバッシングを受けると、来た来た、来た、と身構える。全身の神経が狩人のようにとぎすまされ、いや、サッカーのゴールキーパーのようにあらゆる方向へアンテナが張りめぐらされ、さあどこからでもかかって来い、という油断のない待機モードになる。テンションが上がり、ドーパミンが脳内で放出される。こういう快楽を味わうには、どんなドラッグもいらない。 『ひとりの午後に』」(p.1)