Business, Conflict Resolution and Peacebuilding 書評

Business, Conflict Resolution and Peacebuilding (Routledge Studies in Peace and Conflict Resolution)

Business, Conflict Resolution and Peacebuilding (Routledge Studies in Peace and Conflict Resolution)

国連のグローバル・コンパクトも「企業の社会的責任(CSR)」も企業がネガティブな影響をもたらさないようにすることを目的としているのに対し、本書で提唱されている「ビジネスに基づいた平和構築(Business-Based Peacebuilding: BBP)」は本業を通して企業がより積極的に貢献できると論じるもの。紛争中も紛争地にとどまって巧みに紛争当事者に関与するハイネケンやコカコーラやメルセデスベンツなどの企業の事例が出てきて、単純な「企業=悪」図式では企業の平和構築における可能性を理解できないことがよくわかる。『レクサスとオリーブの木』の中で「マクドナルドがある国どうしは戦争しない」と書いていたT.フリードマンの「仮説」は、2008年にグルジアとロシアが戦争したことで外れたことも本書で初めて知りました。PMCについては表面的な言及しかされておらずちょっと残念。