Mancini, In Good Companies?

In Good Company: The Role of Business in Security Sector Reform

In Good Company: The Role of Business in Security Sector Reform

ロンドンのシンクタンクが出している研究シリーズの一つ。SSR(治安部門改革)という用語は90年代に開発コミュニティから出てきたもので、それまで軍や警察とは距離を置いてきた彼らが治安問題に関与するようになったのは「安全の提供と国民の司法へのアクセスが経済成長と社会開発の必要条件である」(p.13)という認識を高めたからだった。SSRは多くのアクターによる多くの活動の統合・連携によって成り立つ改革であるため、知識と専門技術を集約する能力において群を抜いている民間企業の力をそこで活用しようとするのは必然的な動きだった。

民間軍事企業(PMSC)というとBlackwater社のように武器を携行して紛争地で警備・警護活動にあたる企業のイメージがまだ強いが、それはかなり特殊な例であって、SSRに関わっているPSCは給与体系や階級制度の改革も含む軍や警察の組織改革、組織マネジメント、危機管理、政策評価、情報の戦略的分析、軍・警察の訓練、対テロ対策活動など多岐にわたっていることが述べられている。SSRにおける民間企業の役割はますます不可欠なものになっているにもかかわらず、従来のSSR研究ではそれについての情報と分析が少ないと筆者は批判している。今後のSSR研究が取り組むべき課題を提示している。