過去の流言の例
釘原直樹『グループ・ダイナミックス――集団と群集の心理学』有斐閣、2011年より。
流言の例として下記のようなものがある。
①商品に関する流言
次のようなものがある。「マクドナルド・ハンバーガーで使用されているハンバーグの肉はミミズ」「ケンタッキー・フライドチキンで使われている鶏は4本足」「味の素の原料は輸入されたインド人女性の髪の毛」「コーラの工場のタンクの原液の中に人が転落して溶けてしまった。それが知られないままその原液を使ったコーラが何万本も出荷された」「武富士のコマーシャルに出演しているダンサーは借金のカタに無理に引っ張り出された女性」。(p.119)
②戦時中の流言
広島への原爆投下後に広まった、使用された爆弾に関する流言として、ガソリン空中散布説、マグネシウム粉末空中散布説、多数の子焼夷弾から構成された強力な新型爆弾説があった。第2次世界大戦中、アメリカでは日本の真珠湾攻撃による被害は深刻で、太平洋艦隊と航空機のほとんどが破壊され、そのために西海岸が無防備な状態になっているという流言が流れた。(pp.119-120)
③残虐行為に関する流言
次のようなものがある。「ドイツ軍はイギリス軍捕虜の舌を抜いている」「ロシア軍はドイツ軍捕虜の足を切断している」「黒人が白人女性を強姦し殺した」「白人が黒人女性と赤ん坊を橋の上から投げ下ろした」。(p.120)
④災害時の流言
アメリカでダム決壊の流言により多くの住民が避難した。関東大震災直後の朝鮮人来襲の流言により多数の朝鮮人がリンチされ殺害された。(p.120)