つれづれ日記:中間試験、悲喜こもごも

sunchan20042005-03-02

今週、我が大学ではミッドターム、つまり中間の試験期間を迎えている。日本人留学生は「ミッド」と後ろにアクセントを置いて呼ぶが、そのミッドが今週でピークを迎え、来週からは1週間の(週末を含めれば10日間ほどの)春休みに入る。

自分の場合は、今学期は比較的ラクということもあって、先週までにミッドは全て終わっている。睡眠不足と試験のプレッシャーで心身ともに追い詰められている周りの人たちを尻目に、自分は今こうして「心に移りゆくよしなしごと」を日記に書いているわけである。

言うまでもなく、学生にとって試験とペーパーの提出は学生生活における最優先事項である。それをどう乗り切るかを今みんな必死に考えている。ちゃんと勉強している人もあまりまじめに勉強していない人も、とにかくなんとか無事にこの山場を乗り切ろうとするわけである。それでも思い通りの結果が出せなかったり、素直に認める気になれないような評価をいただいてしまう人もいたりする。自分も当事者としてそういう経験はあったし、結果に納得できないまま試験期間が終わってしまうこともあった。

でも自分の周りにいる日本人留学生の大半は学部生で、年齢的には20歳前後のまだまだ若い人たちばかりである。自分が同じ年齢だった頃は彼らほど一生懸命勉強してなかったし、もしかしたら彼らだって日本にいたら自分と同じく怠惰な大学生活を送っていたかも知れない。縁あってアメリカに来ることになり、そこで試練を与えられて必死でがんばっている彼らの姿を見ていると、自分の過去と照らし合わせながら、素朴に感心させられる。

普段、留学生活に関連して参考にさせてもらっているサイトがある。イギリスで博士課程に在籍しておられる、かみぽこさんという方が管理しているサイトだ。アメリカとは幾分事情が異なる点もあるが、彼が書く留学生活全般についてのメルマガの内容が、自分が今アメリカで経験していることとあまりにも酷似しているために、驚きと同時に、彼のメッセージからいつも元気をもらっている。
http://plaza.rakuten.co.jp/kingofartscentre/

そのかみぽこさんから先日届いたメルマガの中で、「授業に行く直前の留学生の緊張した面持ち」について書かれていた。その箇所をちょっと転載させていただこうと思う。
http://plaza.rakuten.co.jp/kingofartscentre/diary/200502220000/
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午後3時、
いつものように芸術会館のオープン・カフェに行く。

中二階のいつもの席に荷物を置いた後、
コーヒーを買おうと一階に降りた。

一階の席に、修士課程に属する日本からの留学生を見つけた。
ストレートの黒髪が美しいOL風の女性。

「お久しぶりです。」

と声を掛けようかと思ったがやめた。
ものすごく真剣な顔をして本を読んでいたからだ。

(必死に勉強してるんだな。。。)

邪魔しちゃ悪いと思って、
そのまま気づかなかったふりをして
コーヒーを買うためにレジに行った。

レジでコーヒーを買いながら
ちらっと彼女の方を見てみると、
お手洗いに行っていたと思われる
中国人女性が席に戻ってきていて、
彼女と一緒に必死に勉強をしていた。

どうやら二人でグループワークの準備らしい。

私はコーヒーを買ったら
中二階の席に戻り、
PCを開いて書き物を始めた。

午後4時頃。。。

中二階の席から見える通路を
彼女と中国人女性が早歩きで通るのが
目に入った。

緊張した顔をしてどこかへ急いでいる。

きっと今から授業なのだろう。

(がんばってね。。。)

私は無表情でPCの画面をにらみながら、
心の中でつぶやく。。。

「留学回想録」で書いてきているけど、
私も昔は授業のたびに胃がキリキリ痛むほど
緊張していたものだった。

今は授業などないので
そんな緊張感など持ちようもなく、
もちろんそれは
そういう胃がキリキリするような時期を
乗り越えたからこそではあるのだけれど、
自分にもそういう苦しい時期があったことを
忘れないようにしないといけないよなあ、
と思った。

初心に帰るというかね。。。。

日本からの留学生の、
緊張感溢れる真摯な姿を見て、
そんなことを考えました。
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自分も含めて、いま我が大学で勉強している日本人留学生もみんな、似たような境遇に置かれていることだろうと思う。授業や試験を直前に控えて、緊張で顔が引きつってしまっているかも知れないし、プレッシャーのあまり胃がキリキリと痛んでしまっている人もいるかも知れない。日本では決して味わうことのなかったプレッシャーだと思う。

そんなとき、こちらがどんな励ましの声をかけたってあまり意味がないってことはよくわかっている。相手にしてみれば、どんなに同情されたって結局は自分自身で乗り越えるしかないし、誰も助けてくれないし、助けられない。

だから――かみぽこさんが心の中でそっと「がんばってね。。。」とつぶやいたように――自分もそっと大切な仲間たちにつぶやくことにしよう。「The world belongs to the energetic.」と。数々の名言を残しているラルフ・ワルドー・エマーソンの言葉である。

「世界はエネルギッシュな人たちのものである。」

今そうやって苦しんでいる人たちが、10年後、20年後の世界を動かしていくのは間違いないし、その意味で、確かに「世界は彼らのもの」である。

あと一息。

(ちなみに「エネルギッシュ」って和製英語だよね?)