フランシス・H・バーネット『秘密の花園』書評

秘密の花園 (福音館文庫 古典童話)

秘密の花園 (福音館文庫 古典童話)

不幸な生い立ちを経てきた10歳の少女が、自然の生命力に触発されて生きる意欲を取り戻していく物語。物語の中には、主人公メリーと同じように、富豪の子息として生まれながら不幸な生い立ちを背負った病弱な男の子(コリン)と、二人とは対照的に自然と完全に調和し、自然の意思を汲み取る「魔法」を持っていた男の子(ディッコン)が登場する。ストーリーはこの3人を中心に進んでいく。


メリーが自然の息吹に気づいた場面から、本の最後まで一貫して自然の賛美が続く。多少食傷気味になってしまうことは避けられないが、それでも人間はやはり土なしには生きられない生き物なのだろうかと思わずにはいられない物語。読後感は爽やかである。


著者のバーネットは『小公子』、『小公女』の作者としても有名。幼い頃、テレビアニメで「小公女セーラ」という番組を見たことがあったが、このアニメの原作者が本書の著者のバーネットだったと知って感激した。