ドーパミンが出ているときは話しても無駄

キレる!: 脳科学から見た「メカニズム」「対処法」「活用術」 (小学館新書)

中野信子『キレる!:脳科学から見た「メカニズム」「対処法」「活用術」』小学館新書、2019年より。

 ※下線は引用者

 あおられるだけでなく、相手が車から降りてきて、車をバンバン叩いて「車から降りろ」などと怒りをあらわにするような状態は、ドーパミンが放出されている状態なので、何を言っても聞く耳を持ちません。

 理性の利かない“キレている猿”の状態です。こういう状態の人からは逃げるのが一番大事です。一刻も早く警察を呼んで解決はプロに任せましょう。

 「話せばなんとかなるのではないか」などとは考えてはいけません。確かに普段は話をすればわかるようないい人なのかもしれませんが、怒っている瞬間は“本当にいい人”ではありません。その人から永久に逃げるか、いったん逃げるのかはさておき、怒っている状態のときは話し合いを回避したほうがよいのです。(p.94)

 

 また運転中に人格が変わったように、普段いい人でも口が悪くなるというのは、相手に顔が見えないことも原因だと考えられます

 匿名性があることで、仕返しされないという安心感もあるのでしょう。しかしドライブレコーダーが普及したことで、匿名性が薄まりつつあることも自覚する必要があります。お互いに運転中はそういうテンションになっているということに気をつけて言葉にも気をつけたいものです。

 将来的には、自動運転だけでなく、気持ちを落ち着かせるような装置も開発されるとよいですね。個人的には、テストステロン値を自動で計測し、もし上がってきていると思ったら、テストステロンを下げるような物質を、シューッとミストで放出してくれるような車が開発されるといいなと思います。(pp.94-95)