セロトニンとイライラの関係

キレる!: 脳科学から見た「メカニズム」「対処法」「活用術」 (小学館新書)

中野信子『キレる!:脳科学から見た「メカニズム」「対処法」「活用術」』小学館新書、2019年より。 

 セロトニンは“安心ホルモン”とも呼ばれる脳内ホルモンです。たくさん分泌されているとリラックスして、満ち足りた気持ちになります。逆に少ないと不安を感じやすくなります。さらにセロトニンの量が減ると、前頭前野の働きが悪くなるため、共感、計画性、意欲といった適切な社会行動をとるための能力が低下します。

 セロトニンが低下すると、落ち込むだけでなく、攻撃性が高まる人が増え、その衝動を抑えられないという衝動障害も起こりやすくなります。普段は怒らないことにも敏感に反応してカッとなります。(p.150) 

 

 セロトニンは男性に比べて女性の分泌量が少なく、季節やストレス、食べ物などによって分泌量が変化することがわかっています。特に生理中や生理前のほか、日照時間が短くなる6月や秋にはセロトニンの合成がうまくできず、分泌量が減りやすいのです。

 そのため、普段は気にしないような些細なことで不安になり、うつ状態になる人が増える時期でもあります。

 こうした季節と脳のメカニズムを知っておけば、客観的に捉えて、今は落ち込みやすい時期だからその対策をとろう、と前向きに捉えることもできるでしょう。

 前述しましたが、たんぱく質を積極的に摂取し、日光を浴びる、お風呂にゆっくり入るなど、セロトニンを増やす生活習慣を取り入れるとよいでしょう。

 また、そこに行けばいつでもリラックスできる場所や、落ち込んだときにいつも共感してくれる人を見つけておくとよいと思います。(p.151)