事業仕分けされるJETプログラム

〈文化〉を捉え直す――カルチュラル・セキュリティの発想 (岩波新書)

文化政策には目先の数値や効果とは異なる尺度が必要な場合もある。その好例がJETプログラム(語学指導等を行なう外国青年招致事業)だ。元々は外国語教育と国際交流の促進支援を通じた日本の地方自治体の国際化を目的として一九八七年に始まった事業だが、今日では、知日派養成という観点から、パブリック・ディプロマシーの成功事例として海外からの評価もすこぶる高い。現在、世界六〇か国以上に六万人以上の元JET生がおり、各界で活躍している(米国務省に一二〇人以上、在京米国大使館だけでも二〇人ほどの同窓生がいる)。東日本大震災の際には、彼らが被災地のための募金活動や支援イベントを世界各地で牽引した。まさに四半世紀におよぶ地道な活動と信頼構築の賜物と言えよう。しかし、そのJETプログラムも、例えば、二〇一〇年に民主党政権下で行なわれた「事業仕分け」では「中学校や高校における英語のスコアの伸びに成果が反映されていない」といった理由から「見直し」と判定され、一時は事業廃止の瀬戸際まで追い込まれる有り様だった」(p.146)