「教養とは「まだ知らないこと」へフライングする能力のことである」(内田樹)
内田樹『知に働けば蔵が建つ』文春文庫、2008年より。
※強調部分は原文では傍点
雑学情報は「一問一答」形式で管理されている。
「タイ・カッブの生涯打率は?」「三割六分七厘」。
(中略)
「雑学」とは一問一答的に設定された問いに「正解」を与える能力のことである。
しかし、「教養」とはそれとは違う。「教養」のある人はトリヴィア・クイズにも強いので「雑学」者と混同されるけれど、両者はまったく別のものだ。
教養は情報ではない。
教養とはかたちのある情報単位の集積のことではなく、カテゴリーもクラスも重要度もまったく異にする情報単位のあいだの関係性を発見する力である。
雑学は「すでに知っていること」を取り出すことしかできない。教養とは「まだ知らないこと」へフライングする能力のことである。