2005-01-01から1年間の記事一覧

小森陽一、高橋哲哉編『ナショナル・ヒストリーを超えて』書評

ナショナル・ヒストリーを超えて作者: 小森陽一,高橋哲哉出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 1998/05/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (9件) を見る坂本多加雄や佐伯啓思が説く「国民意識の再構築」に共感したため、そ…

櫻田淳『国家への意志』書評

国家への意志 中公叢書作者: 櫻田淳出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2000/06メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る本書は、戦後日本の論壇において、国家が議論の対象から巧みに排除されてきたことに対して、若い世代の著者から異議申し…

坂本多加雄『国家学のすすめ』書評

国家学のすすめ (ちくま新書)作者: 坂本多加雄出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2001/09メディア: 新書購入: 3人 クリック: 10回この商品を含むブログ (18件) を見る※本書評は2年半前に書いたものです。 【ポイント】■「制度」としての国家 要するに、国家…

西部邁『国家と歴史―状況の中で』書評

国家と歴史―状況の中で (発言者双書)作者: 西部邁出版社/メーカー: 秀明出版会発売日: 1998/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る西部邁の、少しだけ難解な言葉の中に皮肉をたっぷり込める独特の言い回しが、本書でも発揮されている。本書は…

アンダーソン『想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行』書評

想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行 (ネットワークの社会科学シリーズ)作者: ベネディクトアンダーソン,Benedict Anderson,白石さや,白石隆出版社/メーカー: NTT出版発売日: 1997/05メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 149回この商品を含むブログ (1…

【国民・民族(エスニック・グループ)・国民国家の定義についての言及箇所】

■中西治『新国際関係論』(南窓社、1999年) ・「ネーション・ステート」は虚構(2頁、186頁、231頁) ■後藤健生『サッカーの世紀』(文春文庫、2000年) ・国民国家という擬制(123頁、125〜126頁) ■衛藤瀋吉・渡辺昭夫・公文俊平・平野健一郎『国際関係論…

坂本多加雄『求められる国家』書評

求められる国家 (小学館文庫)作者: 坂本多加雄出版社/メーカー: 小学館発売日: 2001/06メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見る「国民」観念の形成について、多くの示唆を得た。日本における「国民」観念は、他の多くの国と同じよう…

なだいなだ『民族という名の宗教』書評

民族という名の宗教―人をまとめる原理・排除する原理 (岩波新書)作者: なだいなだ出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1992/01/21メディア: 新書購入: 3人 クリック: 27回この商品を含むブログ (28件) を見る※本書評は3年前に書かれたものです。 ひょっとする…

Leonard J. Moore, Citizen Klansmen書評

Citizen Klansmen: The Ku Klux Klan in Indiana, 1921-1928作者: Leonard Joseph Moore出版社/メーカー: Univ of North Carolina Pr発売日: 1991/11/01メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (1件) を見る“Media Professor”だという噂を聞いていたリ…

Gene Sharp, The Politics of Nonviolent Action, Part One: Power and Struggle, MA: Porter Sargent, 1973.

本書の内容には恐れ入った。ヒーローやヒロインが生まれやすい「暴力的闘争」に比べて、「非暴力的行為(nonviolent action)」の歴史はあまりにも無視され続けてきたと言い、後者が前者に比べて多くの利点を持っていることを説いている。すごいのは、非暴力…

川上洋一『クルド人 もうひとつの中東問題』書評

クルド人 もうひとつの中東問題 (集英社新書)作者: 川上洋一出版社/メーカー: 集英社発売日: 2002/07/17メディア: 新書 クリック: 8回この商品を含むブログ (5件) を見る第一次世界大戦によってオスマン・トルコ帝国が崩壊してから今日まで、国際政治のパワ…

酒井啓子『イラクとアメリカ』書評

イラクとアメリカ (岩波新書)作者: 酒井啓子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2002/08/20メディア: 新書購入: 1人 クリック: 36回この商品を含むブログ (17件) を見る【ポイント】 ■レンティア国家 石油のように、たまたま存在する資源から得られる不労所得…

山内『イスラームとアメリカ』、布施『アラブの怨念』2冊書評

イスラームとアメリカ (中公文庫)作者: 山内昌之出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 1998/04/01メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見るアラブの怨念 (新潮文庫)作者: 布施広出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2001/11メディア: 文庫 クリック: 2…

ジョージ・F・ケナンの論文リスト@Foreign Affairs

George Frost Kennan Feb. 16, 1904 — Mar. 17, 2005 Diplomat, Scholar, Friend (ケナンの画像:Foreign Affairs誌のサイトより)Foreign Affairs誌がHP上で、先月亡くなったジョージ・F・ケナンを追悼して、彼の主要な論文をリストアップしています。「…

サミュエル・ハンチントン『文明の衝突と21世紀の日本』書評

文明の衝突と21世紀の日本 (集英社新書)作者: サミュエル・ハンチントン,鈴木主税出版社/メーカー: 集英社発売日: 2000/01/18メディア: 新書購入: 14人 クリック: 82回この商品を含むブログ (57件) を見る数年前に読んだ『文明の衝突』の記憶はおぼろげであ…

R・ケーガン『ネオコンの論理―アメリカ新保守主義の世界戦略』書評

ネオコンの論理作者: ロバート・ケーガン,山岡 洋一出版社/メーカー: 光文社発売日: 2003/05/23メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 14回この商品を含むブログ (22件) を見る【まとめ】 ■18世紀後半の「弱いアメリカ」と「強いヨーロッパ」→立場の逆転 十八…

Essay: War in Iraq

The Rise and Fall of the Great Powers作者: Paul Kennedy出版社/メーカー: Vintage発売日: 1989/01/15メディア: ペーパーバック クリック: 5回この商品を含むブログ (4件) を見るそれでは、前日の日記の補遺での予告どおり、イラク戦争に関してペーパーで…

Foreign Affairs『アメリカはなぜイラク攻撃をそんなに急ぐのか?』

アメリカはなぜイラク攻撃をそんなに急ぐのか?―フォーリン・アフェアーズ・コレクション (朝日文庫)作者: 竹下興喜,フォーリンアフェアーズジャパン出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2002/12メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見…

重村智計『最新・北朝鮮データブック』書評

最新・北朝鮮データブック?先軍政治、工作から核開発、ポスト金正日まで (講談社現代新書)作者: 重村智計出版社/メーカー: 講談社発売日: 2002/11/20メディア: 新書 クリック: 5回この商品を含むブログ (5件) を見る1997年の初版と重なっている箇所がかなり…

「泣きたくなるような青い空」そして『スカイ・クロラ』

今日のワシントンDCはとてもいい天気だった。 自転車で家から通りまで出たとき、何物にも遮られることのない 青い空がそこに広がっていた。 いったん家に戻ってカメラを持ち出し、撮ってみる。 そういえば誰かが「泣きたくなるような青い空」って表現して…

重村智計『北朝鮮データブック』書評

北朝鮮データブック (講談社現代新書)作者: 重村智計出版社/メーカー: 講談社発売日: 1997/06メディア: 新書この商品を含むブログ (3件) を見る「日本政治経済」の授業をアメリカで取ることになってからつくづく思うのだが、自分にとっては当然知っていたと…

最上敏樹『人道的介入―正義の武力行使はあるか―』書評

人道的介入―正義の武力行使はあるか (岩波新書)作者: 最上敏樹出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2001/10/19メディア: 新書購入: 4人 クリック: 61回この商品を含むブログ (30件) を見る【ピックアップ】 ■人道的介入のモデルケースとはみなしにくいNATO…

中西寛『国際政治とは何か―地球社会における人間と秩序』書評

国際政治とは何か―地球社会における人間と秩序 (中公新書)作者: 中西寛出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2003/03/01メディア: 新書購入: 2人 クリック: 79回この商品を含むブログ (47件) を見る【まとめ】 ■「国際政治」は以下の三つが混ざり合ったもの…

松本三郎、大畠英樹、中原喜一郎編『テキストブック国際政治【新版】

新版 テキストブック国際政治 (有斐閣ブックス)作者: 松本三郎,中原喜一郎,大畠英樹出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 1990/03メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る【研究ノート】 ■国際認識の3過程(24頁) ①記述(description…

百瀬宏『国際関係学』(東京大学出版会、1993年)書評

国際関係学作者: 百瀬宏出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 1993/10メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 4回この商品を含むブログ (1件) を見る【研究ノート】 ■国際関係学の定義 結論から先にいえば、政治学、法律学、経済学、社会学、人文諸…

岩田一政・小寺彰・山影進・山本吉宣編『国際関係研究入門』書評

国際関係研究入門作者: 岩田一政,山影進,小寺彰,山本吉宣出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2003/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 10回この商品を含むブログ (2件) を見る※自分が読んだのは1996年に出版されたもので、現在は増補版が2003年に出…

衛藤瀋吉・渡辺昭夫・公文俊平・平野健一郎『国際関係論』書評

国際関係論作者: 衛藤瀋吉,公文俊平,渡辺昭夫,平野健一郎出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 1989/08/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (2件) を見る※最近気づきましたが、このはまぞうのリンクは出版年が結構間違ってい…

中西治『新国際関係論』(南窓社、1999年)書評

新国際関係論作者: 中西治出版社/メーカー: 南窓社発売日: 2000/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (1件) を見るフランケルの本に続いて国際関係論のテキストの書評である。そしてこの本に対しては、フランケルの本以上に多くの箇所にお…

気づかぬうちに・・・

知らないうちにカウンターが20,000を越えておりました。間違いなく、例の「辞職顛末」が響いているのでしょう。まあ自分で書いた文章で人が訪問している訳ではないので別に嬉しがるところではないと思いますが、それでも訪問した際に他の文章にも寄り道して…

J.フランケル『国際関係論』(東京大学出版会、1972年)書評

国際関係論 (UP選書 (98))作者: J.フランケル,田中治男出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 1980/10/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (1件) を見る40年も前に書かれた国際関係論入門書の訳書である。翻訳されたのも30年…